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時雨side
「え……」
私を包み込んだあたたかいなにかは沖田さんだった。
驚いて涙もひっこんでしまった。
「……別にどこも違いはしねェよ。ただちょっと人よりお人好しで、優しいただの女でさァ」
そんなこと言われたら期待してしまうじゃないか。縋り付いてしまうじゃないか。また、悲しい別れをしなければならないじゃないか。
「てめェが特別ならそれは……」
「……?」
「いんや、なんでもねェ。てめェの居場所がねーなら、俺が作ってやらァ。てめェが自分のために刀を振るえないなら、俺のために、生きて帰ってくるために、刀を振ればいいんでィ」
また涙が止まらなくなる。今まで溜め込んでいた心の中を洗い流すように。そんな私の涙を拭ってくれる貴方に縋っていいのだろうか。
「安心しなせェ。俺たち真選組はそう簡単には死なねー。それに、死にそうになったら、時雨が助けてくれんですよねィ?」
そう言ってニッと笑う沖田さん。今まで重く考えていた私がバカに見えてきた。
そんな私もニッと笑い返した。
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作者名:花遥 | 作成日時:2019年10月3日 22時