・ ページ20
沖田side
今日は朝から早起きして土方コノヤローの部屋に罠をしかけてやったってのに、俺は屯所から追い出された。
何が悪いってんでィ。
まぁ、多分追い出された本当の理由は昨夜の攘夷志士の前川一派の大量殺人の犯人を見つけてこいということだろう。
もちろんそんなことしてやらねェが。
朝から死体がわんさかあった現場は既に血の跡もなく、血の匂いもしない。
なんでも三十人ほど斬り殺されていたんだとか。
三十人もいちゃ、流石に犯人は相当強い手練か、それとも複数犯か。
俺には知ったこっちゃねぇが。
ま、仕方がねぇから路地裏当たりを虱潰しに回ってやることにした。
ここで手柄を取り立てれば副長の座は俺のもんでィ。
おっと、こりゃ一つ目で当たり?
「おい、てめェ血塗れだけど殺人とかしてやせんか」
反応無し。
俯いてるもんだから起きてるのか、眠ってるのかはたまた死んでるのか、分かりゃしねェ。
「おい」
触れれば暖かい肩。
こりゃ生きてるな、だがしかし反応がない。
気ィ失ってんのか。
「おーい起きろー」
_____しゃねぇな。これも副長の座のためだ。
おぶるために顔を上げてやれば、苦しそうに息をしている。柄にもなく綺麗だと思った俺はちょっと今日はおかしいらしい。初対面の血まみれの奴に一目惚れとかどんなヤンデレ好きでも無理だろィ。
おぶってやれば傷が痛むようで、少し顔を歪めた。こりゃどっちか被害者か分かりゃしねェ。案の定、大通りに出れば奇怪なものを見る目でこちらを視線で射てくる。中には怯えて、泣き出す子供もいる。母親は子供の目を隠し、どこかしこから吐く音も聞こえる。そりゃ、パンピーからすりゃ気持ち悪いだろう。今更だが、パトカー呼べばよかったと後悔した。
.
104人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:花遥 | 作成日時:2019年10月3日 22時