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いつの間にか曲のテンポが落ちている。右手も左手も言うことを聞かない。音を紡ぐことをやめてしまいそうで、怖くて、悩んでいるうちにぽたっ、と手の甲に涙が落ちた。
「…、」
『………綺麗、だった』
キュヒョンくんはそんな私の掌を見つめながらそっと言葉を落とした。顔を上げるとキュヒョンくんも苦しそうに眉をひそめている。
「キュ、ヒョンく…」
『……ピアノが、こんなに綺麗な音だって、知らなかった』
「…っ、」
ぽたぽたと。
涙が落ちては溢れてくる。
『演奏を初めて聴いた時から……耳に残って離れなかった。……指も……』
「……っ、う、」
『小さいのに滑らかに動いて……釘付けになって』
キュヒョンくんの指が私の手の甲に触れた。濡れた所が徐々に熱であたたまっていく。私は、静かに泣き続けていた。泣き続けるしかなかった。どうしたらいいか分からなかった。
この数ヶ月閉じ込めていたキュヒョンくんへの想いが溢れ出している。演奏が、本当に止まっちゃいそう。全てが壊れてしまいそうだった。
「っう、キュヒョンく…」
『…最後だから』
顔を上げる。キュヒョンくんはしゃがみ込み、私と同じ目の高さになると両手をギュッと握り締める。
『最後だから…俺も言いたかったこと、全部言うよ』
"絶対何も答えないで"と。
キュヒョンくんに想いを伝えた日の映像が浮かび上がる。あの日下した決断は今も胸に残っていて、後悔はしていないけれどますます涙を誘う。
「…」
『…飛び級生』
「…」
『…学校のお姫様』
「…、」
『…大好きなショパンのことになると、ムキになる人』
キュヒョンくんが私について優しく語りかける。もうほとんど前が見えなくて音しか聞こえて来ない。
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samie(プロフ) - あゆいなさん» お返事が遅れてしまってすみません(T_T)忙しくて更新出来ていなかったのですが今日から再開します。ぜひ最後まで読んで貰えると嬉しいです(*^^*) (2016年9月8日 18時) (
レス) id: 0f9a288193 (このIDを非表示/違反報告)
あゆいな(プロフ) - 今日一気に読ませていただきました。涙が止まらなくて、素晴らしいお話だと思いました。お忙しいとは思いますが、続きを楽しみにしています。頑張って下さい。 (2016年7月31日 10時) (レス) id: f044a5867f (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - samieさん» コメント、ありがとうございます♪これからも、読み続けようと思います。頑張って下さい!! (2016年7月5日 17時) (レス) id: facabdd0a9 (このIDを非表示/違反報告)
samie(プロフ) - ゆうなさん» はじめまして！長いお話ですが初めから読んで貰えて嬉しいです(*^^*)ありがとうございます！もう少し続きますので最後までよろしくお願い致します！ (2016年7月5日 14時) (レス) id: 0f9a288193 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - 「奏」1から、全て読んでみました。とても、面白かったです！私もピアノとショパンが大好きです。楽しませてもらいました。ありがとうございました。 (2016年7月4日 18時) (レス) id: facabdd0a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：samie | 作者ホームページ：http://nanos.jp/samiesj/
作成日時：2016年6月20日 12時
