83 haru ページ33
「A。今朝ね、李先生からショパンコンクールの音源が届いたのよ」
「え…」
「せっかくだから皆で聞く？」
「ちょっ…お母さん…」
「ハイハイハイハイハーイ！聴きたーい！」
勢い良く手を上げる。困ったようにAが眉を下げた。
キュヒョナはなにも言わず飲み物に口をつける。
おばさんは「いいじゃないの。せっかくだから」とＣＤをセットし再生ボタンを押した。
♪＝Fantasy In F minor, Op.49
ショパンの幻想曲。ピアノはあんまり知らないけれどこれは知ってる。
冒頭の静かな旋律が流れただけで鳥肌が立ち、早いパッセージの正確さにごくんと喉が鳴る。
Aの音はいつだって楽譜に忠実でそれでいて奥深い。
『凄いな…』
黙っていたキュヒョナも、声を漏らした。
Aはキュヒョナを見つめたあと照れ臭そうに目を反らす。
「ほんと、こんなに上手になるなんてね…」
おばさんも感慨深そうにAの頭を撫でる。
キラキラと星のように滑らかな旋律がリビングを包み込む。11分の演奏は長いようで短い。
「…」
私はまた悶々としていた。これだけ才能があるんだから夢を叶えて欲しいって気持ちと、キュヒョナと二人で幸せになって欲しい気持ち。どっちも本当だから困る。無理矢理連れてきたけどキュヒョナはまた会わないというだろうし、どうしたらいいんだろう。
どうにかしてあげたいのに。
初恋は実らないなんて言わせたくない。
絶対イヤなのに。。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 45人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
samie(プロフ) - mikiさん» 張りつけただけなんで大丈夫です(*^^*)ぼちぼちやりまっす！ありがとうございます〜★ (2016年6月19日 14時) (
レス) id: 0f9a288193 (このIDを非表示/違反報告)
miki(プロフ) - samieさん» サイトからおすすめが( *´艸｀)一気にUPしてお疲れではないですか？無理せずごゆるりと〜 (2016年6月19日 10時) (レス) id: 9fef4a1efc (このIDを非表示/違反報告)
samie(プロフ) - mikiさん» みきさーん見つけて貰ってありがとうございます(つД`)分からないことだらけですがとりあえずup出来ました…（笑） (2016年6月18日 23時) (レス) id: 0f9a288193 (このIDを非表示/違反報告)
miki(プロフ) - みーつけた！さみーさん、おつかれさまー♪ (2016年6月17日 23時) (レス) id: 781bf52f84 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：samie | 作者ホームページ：http://nanos.jp/samiesj/
作成日時：2016年6月16日 13時
