第二十七話 ~第二章~ ページ28
『……』
しかしそれよりも、米森さんの死に際の顔が忘れられない。
恐怖心から酷く顔色は悪かったけど、
それ以上に……とても穏やかな顔をしていたのだ。
最期、彼は何を想って死んだのだろうか。
ここに来てから何も口にしていなかったからか、
はたまた緊張感で余裕がなかったからか今になって喉が乾いた。
とりあえず、キッチンに行って水を飲もうかな……
そう思って他の人達を起こさないよう静かにベッドから降りた。
＿＿＿
なんの音もしない静かな廊下を一人で歩く。
暗い場所はあんまり好きじゃないんだよな……
そんなことを考えながらキッチンへと続く廊下を曲がろうとした瞬間
『……！？』
「うわっ！？？」
『っ！びっくりした……ユキナリくんか。』
曲がり角で出会い頭に誰かにぶつかりそうになる。
この時間に出歩くのは、まさか狼……？
そう一瞬思ったが、そこに居たのは
同じく焦ったような顔をしたユキナリくんだった。
「あ、Aちゃん……！
よかったぁ、狼だったらどうしようかと思ったよ。」
『わたしもだよ。
……それで、こんな時間にどうしたの？
わたしはちょっと喉が乾いちゃって
キッチンに行こうとしてたんだけど。』
「あ、俺もそんな感じで……」
『そうだったんだ
……！？
ユキナリくん、静かに。
息を殺して、できる限り物音を立てないように。』
「え……、っ！？」
わたしは咄嗟に彼の口に手を当てて二人物陰に縮こまった。
廊下の先には、暗くて見えにくいが確かに人影がいる。
今回の狼だろうか。
コツコツと靴音を立てながらゆっくりと歩いていた。
ユキナリくんも状況を理解したようで
「ど、どうしよう……」と小さく呟く。
『……ユキナリくん、
ずっとここにいてもいずれ見つかる。
わたしは狼が後ろを向いたら合図する。
そうしたら音を立てないようにして引き返そう。』
「そうだね……わかった。」
頷く彼を横目にわたしはもう一度物陰から様子を伺った。
狼はしばらく辺りをウロウロとしていたが、
やがてわたし達とは反対側に向かって歩き出す。
もう一度ユキナリくんに小声で告げた。
『よし、狼が背を向けた。
……行くよ。』
「うん……！」
わたしはユキナリくんの手を引いて物陰から立ち上がった。
狼は気づいていない様子。
わたし達が隠れていた物陰は曲がり角のすぐ近くににあるから、
角さえ曲がってしまえばひとまずはこっちのものだ。
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朝倉 - 凄い面白いです!そうしろうと夢主ちゃんの距離感大好きです!!更新がんばって下さい応援してます! (2018年10月31日 22時) (
レス) id: ea1d87dedf (このIDを非表示/違反報告)
夢 - え。普通に好きです。ソウシロウの夢小説作ってる方少ないから嬉しい！頑張ってください！ (2018年10月28日 15時) (レス) id: 3b3cdc241a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：空白 | 作成日時：2018年10月28日 14時
