第百三十五の怪 ページ45
平然と椅子に座っている会長に少し眉を顰めながらそう言えば、
会長は腕を組んで静かに目を閉じた。
「そりゃあね、だからどうやったって仕様がないでしょ。」
「……まぁ変えられない、変えちゃいけないことがあるのは、
七不思議一番の力を持ってる僕自身もよく分かってるし。
……でもそれならどうして、
Aちゃんにはあんな風に接するんですか？
彼女、もう死んでるのに。」
一番気になったのはまさにこれだ。
普段の会長なら間違いなく怪異を見つけた途端祓うのに、
執拗に優しく接しているのには疑問があった。
確かにあの子は害を及ぼすようには見えないけど……
それでもこんな簡単に信用しているのは何か理由があるんじゃないのか。
「どうして、か……
そうだね、強いて言うなら好きだからかな？」
「……、
こんな時にふざけないでくれます？」
「アハハ、ごめんごめん。
だって彼女……可哀想だからさ？」
「可哀想？七番様に執着されてることですか？」
「それも勿論あるけど……」
そう言ったきり、顎に手を当てて何か考えている様子の会長。
どうしてどいつもこいつも変に何かを隠そうとするんだ。
仮に何も知らされずに巻き込まれた側の
立場になって考えてほしいものだけど。
「……なんなんですか、
どうせここまで聞いたんなら最後まで教えてくださいよ。」
「……彼女の家系のことだよ。」
「家系？
源家のアンタがそうして把握してるくらいなら、
何か過去に関連があったってことだよな。」
「今はもう没落して……家系は途絶えてしまったんだけどね。
彼女は、元々独自の神を信仰していた神主の家系の産まれだったんだよ。」
家系が途絶えた……？
没落するくらいだし、一体何があったのか。
神主ってことは、神社を管理していたって事だよな。
「これは単順に不運な事故だったんだろうけど、
跡継ぎの子の流産だとか……当主の事故死とかね。
そういうことが度重なってた時があってさ。
……まあ当時の柏家の一番の問題は跡継ぎがいなかった事だね。」
「そう、なんですか……」
「当主も亡くなっていたから一刻も早く跡継ぎを育てる必要があったしね。
そんな中、あの子が……Aちゃんが産まれた。」
「！え、」
「でも、あの子は女の子だからね。
跡継ぎは男じゃないと駄目だって大騒ぎになったんだよ。
ただ跡継ぎになれないからって理由で、
柏家は幼い頃からAちゃんに冷たく接していたんだ。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 231人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひより - 更新待ってます！！！ (3月17日 9時) (
レス) @page46 id: 07c25e379c (このIDを非表示/違反報告)
ショコラ - このシリーズ大好きです。いつでも更新まってます！ (2023年2月28日 16時) (レス) id: 707eeda184 (このIDを非表示/違反報告)
紅 - もう更新は無いのですか？いつでも待ってます!! (2022年12月24日 18時) (レス) id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
ヒカリ - 続きがすごく気になります！！更新頑張ってください！！！ (2022年12月3日 8時) (レス) @page46 id: bbb8acb98d (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん - 続き読みたい (2022年7月8日 22時) (レス) @page42 id: 2b16648ba7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空白 | 作成日時：2020年4月18日 5時
