記録六 ページ7
同日 夕刻
「麗はいるだろうか!」
ドンドンという大きな戸を叩く音とそれ以上によく通る声が聞こえる
察しのいい人はもうわかるだろう。
かの炎柱、煉獄杏寿郎である
俺は自分の屋敷を持っているが他の柱よりも小さく、部屋数も多くはない
そんなに大きな声を出さなくても聞こえているが…煉獄に其れを唱えるのは些か蛇足であると判断し、書き留めていた帳簿を閉じて戸へ向かう
「これから柱達で夕餉に行く!もし仕事が片付いていれば、麗も一緒にどうだ!」
『おう、わざわざ屋敷まで来てもらって悪いな。
俺も行くよ、支度するから少し中で待っていてくれ』
そう言って中に招き入れる
有り難い!そうさせてもらう!と律儀に礼を言い、履物を揃えて静かに上がってくる煉獄からは育ちの良さが感じ取れる
ペンを仕舞い、書きかけていた帳簿に紙を挟み、戸棚へ戻す。
格段洒落込む必要はないだろうと思ったが、滅多に皆で同時に食事をするようなこともないため、普段とは別の羽織りを手に取り煉獄の待つ部屋へ戻った。
『待たせたな。行こうか』
「先刻からさほど時間は経っていない!気にするな!」
一歩外に出ると案外、昼間と違って冷えていた
いそいそと手に持っていた羽織を取り出し、袖を通す。
ふと視線を感じたので横を見ると、煉獄にじっっと見つめられていた
『どうした?俺の顔に何かついているか?』
「いや!いつも通り綺麗な顔立ちをしている!
俺が見ていたのはその羽織りだ!
普段のものとは違う趣向で良いと思う!俺は好きだ!」
『…お、おう。それならよかった。これは前に一目惚れして買ったんだが、中々着る機会もなくてな。
煉獄にそう言ってもらえると嬉しいよ』
普段着ているのは白一色の白衣であり、黒の詰襟のような隊服とも相まって味気のないものだ。
それに反して今着ている羽織りは全体的に黒が使われており、金の刺繍と赤の牡丹が描かれている。
「その刺繍も牡丹も見事なものだな!麗は何を着ても映えるだろう!」
『はは、少し派手すぎたかと思ったんだが。そんなに褒めても夕餉代は出してやらないぞ。お前の食いっぷりだと財布が空になるからな』
「よもや!正直な感想を述べたまでだ!」
その後、他愛のない話をしながらみんなが待つ食事処へ向かった
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大正コソコソ噂話
麗さんが着ている羽織りの牡丹の花言葉は"風格"、 "富貴"、"恥じらい"だそうです
なんだか今の麗さんらしいですね
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作者名:リュウグウ | 作成日時:2020年3月23日 17時