美形総書記の活動記録 (ページ6)

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記録五ページ6

柱合会議が終わった後、俺は皆より先に自分の屋敷に戻ろうとしていた。

そこに丁度現れたのが麗だった

考え事をしていたのか、相当驚いたようで倒れそうになった。まずい、と思った時には既に体が動いて、咄嗟に腕を引き抱きとめた。俺の方が小さいが力は強い。

危なかったと一息ついた時、麗が身を捩ったからか、ふわりと金木犀の香が鼻を掠めた

此奴からはいつも金木犀の香りがする

とても落ち着く匂いで、普段よりもはっきりと分かる其れに自分の置かれている状況を再認識した。

『……で、冨岡はいつまで俺のことを抱き寄せているつもりだ？』

お前が倒れてしまうかと思って思わず抱きとめてしまった

「…すまない」

『いや…すまない、じゃなくて離してはくれないのか？』

軽く肩を押されるが、こうして麗の香りを、体温を、近く感じられることは少ない為
まだ離したくなかった

それに抱きとめたから気付いたが、此奴は細すぎではないだろうか。あと少し力を加えたら折れてしまいそうだ

しっかり食事を摂っているのかと聞くと、「三食きちんと食べている。離せ」と怒られてしまった。

麗が強いのは重々承知してはいるが、どうしてもそのしなやかな身体が、風に煽られる髪が、表情が、この男に対しての庇護欲を掻き立てるのだ

じゃあな、とだけ言いひとり歩いて行ってしまう後ろ姿を見、俺も歩き出す。

麗に抱いている感情と同じものが他の人間に湧いたことは一度もない。

守るべき者は多くいるが、この気持ちは庇護欲とは違うのか？

守りたい、共に時を過ごしたい。

ただ鬼から守るだけでなく、これから彼に降り掛かる難全てから

微かに残香のするほうへふり返る

もし、望んでも良いのなら___________

「俺は、もっと仲良くなりたい」