検索窓
今日:3 hit、昨日:10 hit、合計:28,762 hit

記録十一 ページ12

僕は時折、一人で静かに過ごせる場所として資料部屋を使っている
あまり人が来ることもなく、晴れている日は暖かくなるこの部屋はとても居心地がいいんだ
今日は非番だし、またひとりで資料部屋を使わせてもらおうと浮き足立っていたが
それは予想外の人によって憚られた


資料部屋の奥にある机で麗さんが突っ伏して寝ていた
あの人は周りとあまり関わりを持たない僕をよく気にかけてくれていた覚えがある

陽だまりの中、すうすうと気持ちよさそうな寝息を立て、警戒心など皆無な様子で寝ている
今のこの人を眺めていると、鬼のことなど忘れられる気がした

が、このままにしておくわけにはいかない。日が落ちれば同様にこの部屋の温度が下がる


そう思い、ゆっくりと麗さんを揺する。何度か呼びかけるとようやく眩しそうに目を開けた

「起こしてくれてありがとうな」
と礼を言われ、ううんと首を振ると、麗さんの手元にあった紙がインクで汚れてしまっているのが見えた

ため息をつきながら紙を片付けはじめる麗さんに疲れてるのかと聞くといろいろあるんだよと濁された


なんで頼ってくれないんだ。僕がまだ未熟だから?歳下だから?

今の麗さんは見るからに疲れが取り切れていない
指先には霞んだインクが所々についているし、目元には薄らくまが見える

「一緒に来て」

放っておけなかったんだ
一言だけ告げ、麗さんの手を取ってある場所に向かった
いくまでの間ずっとどこに行くのか気になっていたみたいだけれど、言ってしまったら断られる気がしたので無視して歩き続けた


そして_________僕のお気に入りの部屋へ案内した

お館様に教えてもらった、と伝えると『良い部屋だ。季節の移ろいがわかる』と褒めてくれた
少し嬉しくなってしまったが、すぐに目的を思い出し襖へと駆け寄り座布団を出す

僕は貴方に休んでほしいだけなんだ
無理しないで、今日くらいは一緒に休もう、体調を崩しては元も子もないよ、と言えたらどれだけよかっただろうか。


『すまない、気を遣わせてしまって…』
「こういう時は"ありがとう"でしょ」
『はい、有り難うございます…』


普段のきっちりした雰囲気とは真逆の麗さんは少し可愛かった
その後もうだうだと目を開けていたので早く寝て、とだけ伝え、可及的速やかに寝てもらった
今日くらいは、いまだけは
むずかしいことも何も考えずにゆっくりと休んで欲しかった


いつもお疲れ様です、麗さん

記録十二→←記録十


ラッキーアイテム

白衣

ラッキーカラー

あずきいろ

おみくじ

おみくじ結果は「末凶」でした!


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (63 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
137人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 男主 , BL
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:リュウグウ | 作成日時:2020年3月23日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。