絵本 : Taiga ページ11
「じゃあ優吾くん、私は買い物に行きます。・・・本当に大丈夫でしょうか?」
「大丈夫です!僕お兄ちゃんだから。」
「そうですね、お兄ちゃん30分だけ頑張ってください。」
「宮さん、いってらっしゃーい。」
「大我くん、あまりお兄ちゃんに迷惑かけちゃダメですよ。」
宮さんは不安そうに玄関を出て行った。
家に残ったのは大我と優吾兄ちゃんと北斗と樹。
それにジェシーと慎太郎だ。
「兄ちゃん、手伝うことがあったら言ってね!」
「ありがとう、大我。でも今はないよ。」
優吾兄ちゃんの袖を持ちながらふたりで子供部屋に移動する。
昼間は慎太郎もジェシーもこの部屋で遊ばせているからだ。
「あれ、ふたりと樹しかいない。北斗は?」
「北斗うるさいからってリビング行った。」
むくれた樹が慎太郎とボール遊びをしていた。
といっても樹がころがしたボールは慎太郎の足に跳ね返ってるだけ。
「しんたろー上手!」
樹の幸せそうな顔を見て兄ちゃんもニコニコしていた。
「樹〜ジェシーもいれてあげよう。」
「ぼーる!」
そのまま大我をほったらかして4人で遊び始めた。
「ねー、大我も入れて。」
「おいでー大我も!」
樹が手招きしてるけれど、既に樹と慎太郎、兄ちゃんとジェシーのペアができていて、大我は踏み出せなかった。
「・・・えっとね、大我は北斗と遊ぶ!」
そのまま部屋を出てリビングへ行く。
「北斗・・・いた!北斗、あーそーぼ!」
ソファーに積み上がった5冊の絵本。
その横に涼しい顔をした北斗がいた。
「北斗、ねえ、あそぼーよ。」
「・・・」
声をかけても反応のない北斗に大我はしょんぼりする。
「もー・・・」
その時、目に入ったのは北斗がいつも大事そうに読んでる絵本だった。
興味をそそられ、思わず手を伸ばす。
その時だった。
「触らないで!!!」
聞いたこともないような怒号と共に手が伸びてきた。
そしてパチン!と子供ながらに痛そうな音が響く。
「う、う、」
大我は我慢できなかった。
「わああああああん!」
大粒の涙がポロポロと目から落ちて床に垂れていった。
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@Yuua.(プロフ) - しずくさん» Thank you for your feedback!! これからも自分のペースでのんびり更新していきますがよろしくお願いいたします。 (2021年3月13日 23時) (レス) id: 14644af0ff (このIDを非表示/違反報告)
しずく - すごく面白いです。更新を楽しみにしています。これからも体調に気をつけて頑張ってください。 (2021年3月12日 21時) (レス) id: 0ac6e112f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:@Yuua. | 作成日時:2021年3月10日 15時