27 上げては落とす ページ27
「おかえり！」
あれ、いつもはもう少し遅い時間に帰宅するお母さん。早くあがれたのかな。
というかそれなら家の前でずっと爆豪くんと話してたんだしお母さんに聞こえちゃってたかも。
「今日病院に検査結果聞きに行こ〜って朝言ったんだけど、なにか用事あったの？」
『えっ…そうだっけ…？』
全くといっていいほど朝の記憶が無い。
「ねえ、Aちゃん」
『なに？』
お母さんが作業をしていた手を止め、私をソファに座らせる。
『え、どうしたの』
お母さんが目の前でしゃがむ。
「お母さん、今日病院に検査結果聞きに行ったんだ。」
私の手を取り不安そうな顔で言う。
「本当は病院で直接聞く方が良いんだろうけど、まずはお母さんから話してくださいって言われちゃったから、説明下手だけど聞いてくれる？」
『うん、なに？』
どうしてハッキリ言ってくれないんだろう。難しそうな表情につられて不安になってくる。
「あのね、最近物忘れが多いって言ってたでしょう？あれの事なんだけどね、」
『なに』
自分は何も知らないという事が怖くなってきた。きっと良い話では無いのだろうという事だけが何故か分かる。
「Aちゃん、個性が暴走して記憶障害を起こしてるんだって」
記憶障害は前から言っていた事じゃないか。なにを今更
『どういうこと』
考えるよりも先に全部聞いてしまおう、と先走ってしまう。
「Aちゃんの脳の成長を、個性が止めちゃってて、私も聞いたばかりで上手く伝えられなくてごめんね…それでね、」
『うん』
「このままだと、もしかしたら自分の意思で動けなくなっちゃうかもしれないらしくて、」
そこまで言って涙ぐむお母さん。きっと病院の方で詳しく説明を受けたのだろう。
『うん、落ち着いてお母さん。それで、私はどうすればいいの？』
自分の身の危険を知らされている事は分かっている。驚きや悲しみよりも先に、情報量が足りな過ぎる。
「ここからそんなに遠くないんだけどね、し、施設とか、治療とか、その…」
鼻をすすりながら言う。とりあえず箱ティッシュを渡す。
施設という事は入院？なんの施設？
次から次へと疑問が生まれる。でも今は聞けそうにない。
『ねえお母さん、先生の電話番号とか分かる？自分で聞いてみたくて、』
「う、うん、ちょっと待ってね、」
目を抑えながら私にケータイを渡す。早く早くとコールボタンに指が行った。
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おもち(プロフ) - 始めて夢小説で泣いてしまいました…ホントにいい作品だと思います。これからも頑張ってください。 (2017年9月24日 22時) (
レス) id: dccf2b8670 (このIDを非表示/違反報告)
あゆ(プロフ) - コメント失礼します!!爆豪オチでこんなに泣いた作品初めてです!!久々にいい小説に出会えました､ありがとうございます｡ (2017年9月24日 21時) (レス) id: b23d945a8f (このIDを非表示/違反報告)
あ2み(プロフ) - 処女作とは思えないほど胸に響く作品でした泣 (2017年9月24日 20時) (レス) id: a91b06e269 (このIDを非表示/違反報告)
真那(プロフ) - 読んでて胸がすごいポカポカしました。素敵な小説をありがとうございます。 (2017年9月24日 13時) (レス) id: 831bfc74b9 (このIDを非表示/違反報告)
りんご飴。@坂田家 - 泣いた…もうなんか題名からすげぇ胸がぶわぁあってなった……語彙力とか普通の下手な小説家よりも感動した、かっちゃんのあのぶっきらぼうな優しさが好きなんじゃ。こんな素晴らしい小説読めて感謝ですありがとうございます！関連の人気作品一位おめでとうございます！ (2017年9月24日 10時) (レス) id: 792180ac11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ういるす | 作成日時：2017年7月24日 17時
