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Kouji side
「おつかれーっす」
ビールのジョッキをコツン、と合わせるとそれを一気に口の中へと流し込む。
いつまで経ってもこの苦みには慣れそうにない。
向かい合わせに座っためめも眉間にシワを寄せている。おそらく同じことを思っているのだろう。
「かっこつけてビールなんか頼まんければよかったな」
「ほんとだな、」
お互い顔を合わせて笑う。
頼んだ料理がどんどんと運ばれてくると、なかなか手の伸びないビールがテーブルの端へと追いやられていく。
ほんまなんで頼んだんや、と一向に減らないビールを視線の片隅に映す。
「で、あの女の子はどういう関係なん?彼女?」
今日、ふたりでこうして飯を食いに来たのはそれを聞くために他ならない。
独り身で寂しい俺が、めめの惚気話のひとつやふたつ聞いてやろう、ありがたく思えや、なんて軽く考えていた。
「いや、彼女じゃない」
めめは目線を下に落としたまま、そう言った。
「そーなん?でもえぇ雰囲気やったで。恋人までもう秒読み!みたいな」
茶化すように笑う俺にめめは曖昧な笑みを向ける。
「俺の片思いなの、」
切なそうにそう言っためめがやけに可愛く見える。
こんなでかい図体しといて、こんな可愛らしく片思いだなんて告白された日にゃ、俺が女子だったら速攻で惚れるけどな、なんて思う。
「告白したらえぇやん。見た感じ向こうも満更ではない感じやったで」
頭の中で、カメラ越しに見たあの瞬間を思い出す。
愛しい人を優しく見守るめめの目と、それに応えるように笑うあの女の子の顔は、好き同士のそれにしか思えなかった。
「向こう、彼氏いるから」
めめは俺のほうを見ずにそう言ったきり黙りこくる。
想定をしていなかった返答に俺はただただ固まることしかできず、やっと出てきた言葉は何の気も利かない「まじか」というバカみたいな一言だった。
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さーや(プロフ) - いちごみるくさん» あぁもうすごくわかる―!フラフラしててもちゃんと戻ってくるしょぴの安心感・・・ (2020年2月12日 12時) (レス) id: 631bd59892 (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - ひよさん» めめ報われて欲しいですよねぇ・・・なんか書いててめめが可愛くて仕方なくて。しょぴ落ち・めめ落ち両方作りたいと思っています・・・! (2020年2月12日 12時) (レス) id: 631bd59892 (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - ;_;)/さん» コメありがとうございます!しょぴ幸せになって欲しい方多いですね〜書いてる私もしょぴ幸せになれ、と思ったりなんだり。笑 どちらの結末も書こうと思っているので、長くなりますがお付き合いいただければ嬉しいです〜 (2020年2月12日 12時) (レス) id: 631bd59892 (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - 覇瑠さん» コメありがとうございます!ブロックするところ、上手く伝わったかな〜と不安だったのでそう言っていただけて嬉しいです。個人的に2人とも幸せにしたいので、しょぴ落ち・めめ落ち両方作りたいと考えてます・・・! (2020年2月12日 12時) (レス) id: 631bd59892 (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - てゃんさん» コメありがとうございます!ほんと2人とも幸せになって欲しいですよね…書きながら、心苦しくなります。笑 ちょくちょく更新していくのでまた見てください! (2020年2月12日 12時) (レス) id: 631bd59892 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さーや | 作成日時:2020年2月8日 11時