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「とーちゃく！」
車を走らせたどり着いたのは、港に面してウッドデッキで作られた旅客船ターミナル。
通称“くじらの背中”と呼ばれるそこは、港と夜景が一望できる場所だった。
俺たちが到着したときには、人影はまばらで、カップルが1組、2組、夜景を眺めながら自分たちの世界に浸っていた。
Aの手を取り歩みを進めれば、海の奥にネオンがキラキラと光り輝く。
「急にどうしたの、こんなところに来て」
潮風にAの細い髪が小さく揺らされる。
何も言わずにこんなところまで連れてきたことに些か不満そうではあるが、それでもこれまでほとんどデートらしいデートをして来なかったこともあってかその表情は嬉しそうにも見えた。
Aと向き合う形になって、じっとその顔を見つめる。
「なに、？」
あまりに俺が真剣な表情をしているからなのか、Aは不安そうにこちらを見つめる。
ステージに立つときもこんなに緊張することなんてないのに、今日は緊張で指先が震えた。
それを隠すかのようにポケットに手を突っ込む。
「A、」
右手でポケットの中に忍ばせた小さな箱を掴むと、それをAの目の前に差し出す。
「今まで不安にさせてばっかりだったし、傷つけたこともたくさんあったし、、これからも多分、たくさん泣かせてしまうかも、しれないけど」
不格好な言葉が口から零れだす。
本当はもっとかっこよくスマートに言うはずだったのに、どうして現実は上手くいかないのだろう。
「多分、まだまだ先で、どれくらい待たせちゃうかも正直分かんねぇけど、」
スン、と息を小さく息を吸い込むと鼻先を潮の香りが掠める。
「俺と結婚してください」
箱を持つ手が小さく震える。
それは1月の夜の寒さのせいなのか、それとも緊張のせいなのか、自分でも分からないほど、そう言うのが精一杯だった。
「・・・私でいいのっ・・・？」
目に薄っすら涙をためたAがポツリと呟く。
重ねられた手は俺と同じくらいに冷えて震えている。
「お前じゃなきゃダメなの」
Aのことを抱き寄せて髪に顔を埋める。
Aの香りと潮の香りが混ざって、鼻の奥がツン、とした。
俺の胸の中で、「ありがとう、」とか細く呟かれたAの声に俺はただ「うん」と頷くのが精一杯だった。
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さーや(プロフ) - いちごみるくさん» あぁもうすごくわかる―！フラフラしててもちゃんと戻ってくるしょぴの安心感・・・ (2020年2月12日 12時) (
レス) id: 631bd59892 (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - ひよさん» めめ報われて欲しいですよねぇ・・・なんか書いててめめが可愛くて仕方なくて。しょぴ落ち・めめ落ち両方作りたいと思っています・・・！ (2020年2月12日 12時) (レス) id: 631bd59892 (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - ;_;)/さん» コメありがとうございます！しょぴ幸せになって欲しい方多いですね〜書いてる私もしょぴ幸せになれ、と思ったりなんだり。笑 どちらの結末も書こうと思っているので、長くなりますがお付き合いいただければ嬉しいです〜 (2020年2月12日 12時) (レス) id: 631bd59892 (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - 覇瑠さん» コメありがとうございます！ブロックするところ、上手く伝わったかな〜と不安だったのでそう言っていただけて嬉しいです。個人的に2人とも幸せにしたいので、しょぴ落ち・めめ落ち両方作りたいと考えてます・・・！ (2020年2月12日 12時) (レス) id: 631bd59892 (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - てゃんさん» コメありがとうございます！ほんと2人とも幸せになって欲しいですよね…書きながら、心苦しくなります。笑 ちょくちょく更新していくのでまた見てください！ (2020年2月12日 12時) (レス) id: 631bd59892 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さーや
| 作成日時：2020年2月8日 11時
