うそつきとキス 2

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「なんか、適当なものでごめん」

ダイニングテーブルに並べられた朝食を目の前にAさんは申し訳なさそうに笑った。



「なんか前もそう言ってたことあったよ、なんて言うんだっけ、こういうの」

「デジャヴ」

「そうそれ」



そんな何気ない会話をしながらワイドショーをBGMに食事を進める。




「あ」





Aさんがそう言うと慌ててテレビに駆け寄った。

何事だ、とゆっくり近づくと、SnowManの映像が流れている。
デビュー日に朝のワイドショーでコーナーを担当したり、デビュー曲を披露することを告げる内容だった。


テレビに映るアー写の俺を指差し「めめくんだ」とAさんは無邪気に笑った。
そういうときに翔太くんではなく、俺を指してくれたことに些細なことだけど嬉しさを覚える。




「いよいよだね」

「ね、全然実感湧かないけど」


テレビに映る自分をこんな風に見ることはこれまであんまりなかったからなんだか変な感じだ。
これからそれが当たり前になるのだと思うと、ワクワクする気持ちと同時に本当に大丈夫だろうかと不安にもある。





「めめくん、私のこと忘れないでね」

Aさんは不安そうに笑った。

「忘れるわけないじゃん」

ふっと、俺が笑うとAさんは、安心したように笑い、俺の肩にコツンと頭を乗せた。





「めめくん？」

Aさんが吐き出した吐息が鎖骨のあたりにそっとかかる。
次の瞬間、吐息がかかるその箇所に、チクっと小さな痛みが降った。




「忘れないように印つけた」

えへへ、とAさんは笑うとそこを指でなぞった。




「じゃあ俺も」

今度は俺がAさんの首元に口づけを落とし、赤い痕を残す。





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