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A side
2人して散々泣いたあとで、もう帰るわ、ってそう言った深澤くんを見送る。
エントランスまで無言のままやってきた私たち。
2人して目を真っ赤にして、泣き腫らした顔して。傍から見たら本当、やばい2人でしかないのだけど。
でも私たちにとっては、今日は再スタートの日になる。
お互いに、逃げずに、前に向かうのだ。
「なぁ、最後にひとつだけワガママ言わせてくんねぇ？」
「え？」
「・・・手、繋いで少しだけ一緒に歩いて欲しい、」
「・・・うん、」
深澤くんの細くて白い、でも男を感じさせるその手が私の手を掴む。
そこから伝わる少し低めの体温が、心地よかった。
マンションの近くを流れる穏やかな川。
その横を手を繋ぎながらゆっくりと歩く。
それはまるで、恋人同士のような作業だった。
「なぁ、A」
「なに？」
「康二はいいやつだから。ちゃんと支えてやって」
「うん」
「あいつは俺と違って、Aのことを不安にさせるようなことはしないし、絶対に裏切ったりもしない」
「うん、」
「でもちょっとだけお人好し過ぎるから、そこはお前が教育し直して」
「・・・それは無理、」
「んなこと言うなよ」
静かにゆっくりと流れる川の流れのように、私たちの会話もゆっくりと、ゆっくりと、でも確実に流れて、終わりへと向かっていく。
「なぁ、A」
「・・・なに、？」
「俺、好きだった。ほんとに、」
「・・・うん、」
私も好きだった、深澤くんのこと。
好きだったから、だから、傷つくのが怖くて、逃げた。
深澤くんの歩みが止まる。
深澤くんはこちらを見るとフッ、と小さく笑った。
そして、唇に小さな熱が落ちてくる。
そのキスは、涙の味がした。
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さーや(プロフ) - リナさん» 最後まで読んでいただきありがとうございました！着地地点、書いている私もどうなるんだ？？って思いながら書いていました…笑 きっとこの2人ならこういう風になるかな〜と。 (2020年6月1日 16時) (
レス) id: 4528227f28 (このIDを非表示/違反報告)
リナ(プロフ) - 最後めっちゃ良かったです！これ着地点どうなるんだ？ってドキドキしながら見てました！ちゃんと前向いてる感じが良いですね！良い夢見れそうです (2020年5月31日 23時) (レス) id: 7aedc618bf (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - ハロさん» ありがとうございます！書きながら着地地点どうなるんだ？？って書いてる本人がなっていますが（笑）多分切ない展開にはなるはず…！ご期待に添えるように更新頑張りますー！ (2020年5月27日 19時) (レス) id: 6178770b80 (このIDを非表示/違反報告)
ハロ(プロフ) - いつもドキドキしながら読ませてもらってます！二人とも大好きなので今後切ない展開になるかもと勝手に想像して苦しんでます（笑）さーやさんの文章は情景の描写がすごく上手でどんどん引き込まれて大好きです！これからも更新楽しみにしています！がんばってください！ (2020年5月27日 17時) (レス) id: 04eaede967 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さーや
| 作成日時：2020年5月27日 15時
