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行為を終え、ベッドに寝そべりながらタバコを吸う渡辺くんを背に服を搔き集める。
「帰んの?」
「うん、残業で遅くなるって言っただけだし、」
「ふーん、」
渡辺くんは何か言いたげな視線をこちらに向けたまま、タバコを口に運ぶ。
その横顔に、胸の奥がチクリ、と痛んだ。
その痛みは何に対する痛みなのだろうか。
康二に対する罪悪感か、それとも一時的な快楽に流された愚かな私に対してか。
「ねぇ、また会お」
着替えを済ませ、じゃぁね、とホテルの部屋を出て行こうとする私に渡辺くんが投げかける。
「それはどうかな」
「まぁ前向きに検討していただいて」
改まった顔でそういう渡辺くんに思わず笑いが込み上げる。
耐えきれずに吹き出すと、「今、笑うとこ?」なんて子どもみたいに拗ねた表情をする。
コロコロ変わる表情が本当に子どもみたいだ。
「渡辺くんって、チャラいだけじゃなくて、なんか幼稚園児みたい」
「なんだそれ」
ふはっ、と大きく笑いだす渡辺くんに私は、じゃぁねと手を振り、部屋を出てドアを閉める。
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「ただいまー」
家に着いたのは、深夜1時過ぎ。
リビングの電気は消えていて、遠くのほうで冷蔵庫が小さな唸り声をあげているだけだった。
シン、と静まり返ったリビングに足を踏み入れる。
明かりがついていないだけで、こんなに冷たく感じるものか、と思うくらい部屋の空気が冷たかった。
それはまるで、一夜の過ちを犯したお前にはこの家にいる資格などない、と言われているようで、もうこの家からも康二からも歓迎をされないのでは、なんてそんな気にさえなる。
そう思うのは自分が先ほどまでしていた行為に多かれ少なかれ罪悪感を持っているからなのだろう。
電気をつけると、ソファに身体を沈める。
目を閉じれば、まだ身体の奥に渡辺くんとの情事の熱が残っている気がした。
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さーや(プロフ) - みきさん» コメありがとうございます。私自身、アイドル設定で書いてしまうことが多いのでなかなかこういう設定で書くこと少ないのですが、少しずつ挑戦してみますね!特に阿部ちゃんはまだ書いたことないので、書いてみたいな〜と思ってます…! (2020年3月30日 17時) (レス) id: 4528227f28 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 芸能人・アイドル設定が、あまり好きでないので、このような会社員設定でピュアさがあるのが好きです。こちらの康二くんストーリーのようなピュアさ満載のストーリーを、今後は ふっかさんや阿部ちゃんでも書いて頂きたいです。よろしくお願いいたします。 (2020年3月30日 14時) (レス) id: 5ca5d758c8 (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - riiiさん» コメありがとうございます!このお話でお仕事の疲れ癒せてますか・・・?こちらこそそんな風に言っていただけて嬉しいです。ありがとうございます〜これからも更新していきますので、もしよければ読んでくださいね! (2020年3月28日 16時) (レス) id: 4528227f28 (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - みきさん» コメありがとうございます。子どもっぽくて純粋な感じの康二くんが書きたかったので、そう言っていただけて嬉しいです〜今のところ不穏な流れになってますが(笑)これからも読んでいただけると嬉しいです。 (2020年3月28日 16時) (レス) id: 4528227f28 (このIDを非表示/違反報告)
riii - 初コメ失礼します。いつも仕事で疲れた心をこのお話で癒してもらってます!ありがとうございます^ ^大変だと思うのですが、更新楽しみにしています! (2020年3月27日 11時) (レス) id: 57b32ac5d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さーや | 作成日時:2020年3月18日 11時