25 ページ26
Shota side
「じゃぁかんぱ〜い」
陽気な掛け声のあと、グラスが交わされる音が鳴り響く。
人数合わせで来た合コン。
別に彼女が欲しいわけじゃない。
まぁそれなりに遊べる女の子がいればいいな、とは思うけれど、そんなこと合コンの場で言ったら女性陣からはブーイングの嵐が起きそうだから、適当に愛想を振りまいておく。
隣で甘ったるい声を上げる女の子の話に適当に相槌を打ちながら、酒を飲んでいると、向かい側に座る女の子と目があった。
名前はえーっと、たしかAちゃん。
Aちゃんと目が合い、小さく笑うとふいに目を反らされた。
あれ？俺なんか警戒されてる感じ？
「Aちゃんだっけ？飲んでる？」
適当なところで、先ほどまで話していた女の子の隣を離れ、Aちゃんの隣へと移動する。
「飲んでますよ」
ほら、とグラスを揺らすAちゃん。酒のせいか少し潤んだ瞳がやけに印象的だった。
「なんで敬語？」
「なんとなく？」
「なんだそれ」
ははっ、と笑い声を上げると「渡辺くんの笑い声ってなんかつられる」とAちゃんも笑った。
「翔太って呼んでよ」
「いいよ、渡辺くんで」
「なんでだよ」
そんなどうでもいいやり取りをしながら、もう一度、カチンと乾杯をする。
「Aちゃん、乗り気じゃないでしょ」
「人数合わせで無理矢理連れてこられただけだからねぇ」
「うわ、正直」
他の女の子たちは、必死に男に話しかけているけれど、Aちゃんにそういう様子が見られなかったのはそういうことか、と合点が行く。
「口説こうと思ってるなら望みないし、他のところいったほうがいいよ」
そう言って小さく笑うAちゃんの表情に小さく鼓動が跳ねた。
「別に俺、今日女の子口説こうと思って来てないし」
それは半分ほんとで半分嘘。
Aちゃんなら口説いてもいいな、なんて思ったけれど、そんな風に牽制されてしまったら、そこに踏み込むのは難しいだろう。
「あ、でも俺、Aちゃんのことちょっと気になってる」
Aちゃんのグラスを持つ手に自分の手を重ね、Aちゃんのほうを見つめる。
「…物好きだねぇ」
重ねた手を丁寧に解きほぐしながら、Aちゃんは小さく笑った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 525人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さーや(プロフ) - みきさん» コメありがとうございます。私自身、アイドル設定で書いてしまうことが多いのでなかなかこういう設定で書くこと少ないのですが、少しずつ挑戦してみますね！特に阿部ちゃんはまだ書いたことないので、書いてみたいな〜と思ってます…！ (2020年3月30日 17時) (
レス) id: 4528227f28 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 芸能人・アイドル設定が、あまり好きでないので、このような会社員設定でピュアさがあるのが好きです。こちらの康二くんストーリーのようなピュアさ満載のストーリーを、今後は ふっかさんや阿部ちゃんでも書いて頂きたいです。よろしくお願いいたします。 (2020年3月30日 14時) (レス) id: 5ca5d758c8 (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - riiiさん» コメありがとうございます！このお話でお仕事の疲れ癒せてますか・・・？こちらこそそんな風に言っていただけて嬉しいです。ありがとうございます〜これからも更新していきますので、もしよければ読んでくださいね！ (2020年3月28日 16時) (レス) id: 4528227f28 (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - みきさん» コメありがとうございます。子どもっぽくて純粋な感じの康二くんが書きたかったので、そう言っていただけて嬉しいです〜今のところ不穏な流れになってますが（笑）これからも読んでいただけると嬉しいです。 (2020年3月28日 16時) (レス) id: 4528227f28 (このIDを非表示/違反報告)
riii - 初コメ失礼します。いつも仕事で疲れた心をこのお話で癒してもらってます！ありがとうございます^ ^大変だと思うのですが、更新楽しみにしています！ (2020年3月27日 11時) (レス) id: 57b32ac5d0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さーや
| 作成日時：2020年3月18日 11時
