動揺 ページ43
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目黒蓮は、毎日のようにうちの店へとやってくる。
時々来ないこともあるが、そういうときは決まって『今日は行けない。ごめんね』なんてご丁寧にメッセージが送られてくる。
その“ごめんね”は誰の、どこに向けた謝罪なのか。
「お願いしまーす」
そう言って目黒蓮が、レジカウンターにコーヒーとスナック菓子を置く。
私はそれをひとつずつレジに打ち込んでいく。
「あ、あとタバコも」
「はい」
伝えられた番号のタバコを手に取り、レジを打とうとした瞬間「あ、」と目黒蓮が声を上げる。
何かあったのか？と視線を目黒蓮のほうへ向ける。
「そのタバコ違う」
目黒蓮の言葉に「え」と手元にあるタバコに目をやる。
「あ、」
目黒蓮が言った番号のタバコを取ったつもりだったが、手に握られていたのは言われた番号とは違うタバコ。
「すみません」
慌てて、目黒蓮から言われた番号のタバコを取り出し「こちらでお間違いなかったでしょうか」と尋ねる。
「それで合ってる」
目黒蓮はそう言ったあとで、何か言いたげな視線をこちらに向けた。
「なにか？」
「さっき持ってたタバコ、岩本くんがよく吸ってるやつだーって思っただけ」
レジからおつりを出そうとしたとき、目黒蓮がそんなことを言うから、思わず手に取った小銭を床にばら撒いてしまった。
小さな金属音が床一面に広がっていく。
それは私の動揺が全身に拡がっていくのを表しているかのようだった。
「申し訳ございません」
慌てて、新しくレジからおつりを取り出し、目黒蓮に差し出す。
おつりを受け取った目黒蓮は「べつに気にしなくて大丈夫」と小さく笑い、店を出て行った。
「ねぇ、Aちゃん今日どうしたの？」
いつもならしないミスの数々を見ていた田中女史がそう心配そうにこちらに視線を向けた。
「なんか、変かも。私」
「うん？」
田中女史は私の言葉に頭に疑問符を浮かべ「なんか、あんまり無理しちゃだめだよ」と声をかけてくれた。
目黒蓮が来ると調子が狂う。
あの人、いつまでこの店に通ってくるつもりなんだろう。
そんなことを思いながら床に散らばった小銭を拾い集めるためにしゃがみ込んだ。
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さーや(プロフ) - ひとみさん» コメありがとうございます。私も岩本くんがんばれー！と思いながら書いてます。笑 また更新しますので、読んでいただけると嬉しいです〜 (2020年3月16日 21時) (
レス) id: 6178770b80 (このIDを非表示/違反報告)
ひとみ(プロフ) - 冷たい態度を取られている、岩本君に「頑張れ！！」と応援してしまいます^ ^お話も面白くて、情景が浮かんで、読んでますよ〜 (2020年3月16日 18時) (レス) id: 795ac4ea66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さーや
| 作成日時：2020年3月15日 11時
