苦手意識はどこから ページ24
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「Aちゃんはその人のことなんで苦手なの？」
田中女史はドリンクバーで何種類ものジュースを混ぜたよくわからない液体を飲みながら、こちらに視線を向ける。
なんでと言われましても。
苦手なものは苦手としか。
「…なんか、怖いんだよね」
「怖い？」
「そう、見た目もいかついし、デカイし、放つオーラも…なんかもうその存在自体が怖い」
カウンター越しに岩本さんと向き合うと、毎回、小さな緊張が身体に走る。
私のほうに向けられるその視線を気にしないようにすればするほど、商品を持つ手が小さく震えるほどだ。
「中身は？」
「中身？」
「見た目が怖くて苦手なのはわかった。じゃぁ中身はどう？ここが苦手、とかあるの？」
「うーん…やたら話しかけられるのは嫌かな」
怖いからなるべく関わりたくないのに、用があってもなくても話しかけられるとそれだけで身構えてしまう。
「あ、でも笑顔はちょっとかわいい」
積極的に話しかけられるものも身構えてしまうし、その視線を向けられることも緊張するし、だけど、岩本さんが「ありがと」とか「またね」と言ったときに見せる子どもっぽい笑顔はちょっとかわいいかも、なんて思ったりする。
あくまで、ちょっとだけ、だけど。
「じゃぁ別に全部が全部苦手ってわけじゃないじゃん。心底苦手な人なら、笑顔向けられても『気持ち悪い』としか思わないよ」
「そういうもの？」
「そういうもの」
そう言って田中女史はよく分からない色の液体を一気に吸い上げる。
見ているこっちが気持ち悪くなりそうなその色の液体を飲みほした田中女史は「あぁ美味しかった」と満足気な表情を浮かべた。
「…うーん…、やっぱり怖い」
「でも苦手って思ってるとずーっと苦手なままだよ」
食べ物だってそうでしょ、と田中女史は言う。
「それならちょっと角度変えて、この人のここ好きになれそうかも、ってところを探してみるのもいいんじゃない」
あとはAちゃん次第だけどね、と田中女史は笑った。
私次第か。
岩本さんの笑顔を思い浮かべながら、私はもう一度天井を見上げた。
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さーや(プロフ) - ひとみさん» コメありがとうございます。私も岩本くんがんばれー！と思いながら書いてます。笑 また更新しますので、読んでいただけると嬉しいです〜 (2020年3月16日 21時) (
レス) id: 6178770b80 (このIDを非表示/違反報告)
ひとみ(プロフ) - 冷たい態度を取られている、岩本君に「頑張れ！！」と応援してしまいます^ ^お話も面白くて、情景が浮かんで、読んでますよ〜 (2020年3月16日 18時) (レス) id: 795ac4ea66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さーや
| 作成日時：2020年3月15日 11時
