隣人と恋とそれから。

・ ページ39

.

約束した日。
2人で少し遠出して靴屋さんをめぐる。


「これとかAさん似合いそう」
「そう？」

俺が手にとったスニーカーを試し履きするAさん。


「どうかな？」

「うん、いい感じ」

「なんか自分じゃ選ばない感じのやつだからちょっとドキドキする」

「そう？似合ってるのに」

そっかー、どうしようかなーなんて口元に手をあて悩むAさん。
そんな風に悩むAさんを見て、思わず口元が緩む。





「ねぇ、こっちはどうかな？」

「あ、それいいじゃん」

「ほんと？」
俺の言葉に、嬉しそうに笑い声をあげるAさんに俺もつられて笑う。









「これにしようかな」

「いいんじゃない」

色々なスニーカーを試して結局、Aさんは一番最初に俺が提案したスニーカーを買うことに決めたらしい。






「ねぇ、目黒くん。もう一個お願い聞いてくれる？」

「なに？」

Aさんは俺の服の裾を掴むと、こっちに耳を寄せろとジェスチャーをする。
なんだ？と少し屈んでAさんのほうへ耳を傾けると、Aさんの顔が耳に近づいてくる。







「このスニーカー、目黒くんとお揃いにしたいんだけど、ダメかな？」
耳元で囁かれた言葉が、あまりに可愛くて、それを聞いた瞬間から口元が緩んで元に戻ってくれない。





「ダメなわけないじゃん」
横目でチラリ、とAさんのほうを見ると「やった！」と嬉しそうに笑っている。


俺の分のスニーカーも手にレジへと向かう。
会計を終え、それぞれの手に同じお店の袋が揺れる。







「今度これ履いてどっか行こうよ」

「いいね、どこにする？」

そんなことを話しながら、2人で同じお店の袋を揺らして、同じ部屋に帰る。


当たり前にAさんがいて、当たり前に“今度”の話が出来るのがなんだか今日はたまらなく嬉しくて、俺は手に持った袋を少しだけ大きく揺らした。





--------------

うさんのリクエストで「でれでれの目黒くん」でした。
これを書きながら、私でれでれを書くのってすごい苦手なんだ…と気づきました。
上手いこと甘い感じに出来なくてすみません。。。

カンガルー→←おそろい（リクエスト）

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す