左手 ページ47
.
ベッドの中、スマホを何やらいじっている目黒くん。
「何見てんの?」
目黒くんの隣に潜り込み、なんとなくそんな風に聞いたら「べつに?」となんだか素っ気ない返事。
いや、別にいいんだけど。
「はい、Aさん」
そう言って目黒くんは先ほどまでいじっていたスマホを枕元に置くと「ん」と腕を伸ばす。
私がその伸ばされた腕に頭を乗せると目黒くんは満足気に笑った。
互いに向き合う形になると、今にも顔が触れそうな距離になる。
こんな風に一緒に眠るのはもう何度もしてるはずなのに、未だにふとした瞬間気恥ずかしくなる。
「ねぇ、Aさん」
「なに?」
鼻先に目黒くんの息がかかる。
目黒くんは、空いていた左手を掬い上げると指を絡める。
先ほどまでお風呂に入っていたせいか、その指先には熱が残っている。
じっと、こちらに目線を向ける目黒くん。
目黒くんの瞳には私の姿が小さく写っていて、なんだか変な気持ちになる。
「ねぇ、Aさんの左手の薬指、俺に予約させてくれる?」
目黒くんは真剣な表情でこちらをじっと見つめたまま、その甘くて低く響く声で言う。
そして、絡まった指先をそっと目黒くんは自分の口元に近づけると、私の左手にそっと口づけを落とす。
「なにそれ、どういう、」
目黒くんの唇が触れたその場所から、じわじわと身体中に熱が伝わる。
恥ずかしくて、顔が熱い。
思わず視線を逸らし、恥ずかしさからどう返したらいいか分からず、冷たい返事になってしまう。
「そういう意味だけど」
目黒くんのほうへ視線を戻せば、目黒くんも恥ずかしそうに困った顔をして小さく私の方から視線を逸らしていた。
…なんで言った本人が照れてるんだ。
そう思ったら自然と笑いがこみ上げてくる。
「なんで笑うんだよ、」
ムッとした表情の目黒くんにごめん、と笑ったまま謝れば「もー、ほんと人がせっかく言ってんのにさー」なんてまた拗ねたような声をあげる。
私はそっと繋いだ手に力を込め、少し体を近づける。
目黒くんの胸にオデコを付け、小さな声で「待ってるからね」と呟いた。
その声は目黒くんに聞こえてるかどうかわからないけれど。
目黒くんは私の頭に自分の顔を乗せると小さく笑い声をあげた。
.
3332人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さーや(プロフ) - なぎぷちょへんざーさん» 聞きました!月が綺麗ですね、の意味をめめが知ってて衝撃だったんですが?!笑 壁に穴開けよ、がもうめめ過ぎて笑いましたw (2020年4月3日 7時) (レス) id: 6178770b80 (このIDを非表示/違反報告)
なぎぷちょへんざー(プロフ) - この小説お気に入りです!素のまんま聞かれました?お便りの内容を聞いた瞬間この小説を思い出しました、笑 (2020年4月2日 22時) (レス) id: 831076a685 (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - 夢さん» コメありがとうございます!どういうお話の展開にするか悩んでいたのでそう言っていただけで嬉しいです…!ありがとうございます! (2020年3月23日 20時) (レス) id: 6178770b80 (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - たぴおかさん» アーカイブでひーくんチュロス見ましたがあれはたしかにやばい…!!うどんで盛り上がるスノちゃんたちが可愛すぎました…! (2020年3月23日 20時) (レス) id: 6178770b80 (このIDを非表示/違反報告)
夢(プロフ) - 初めまして。コメント失礼します。今まで色んな作品を拝見してきたのですが、久しぶりにここまで展開が気になり夢中になって最後まで読んじゃいました。とても素敵な作品でした! (2020年3月22日 21時) (レス) id: 97d80eb079 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さーや | 作成日時:2020年3月9日 17時