隣人と恋とそれから。

暮らそうよ ページ45

.

「康二がこれ面白いって言っててさー」

ごはんを食べのんびり2人でソファに座りテレビを観ていると、目黒くんがそう言ってリュックから1枚のDVDを出した。

それは、某アメコミヒーローの映画だった。




「いいね、観よっか」

目黒くんからDVDを受け取るとデッキに入れる。
本編が始まる前の予告映像を観ていると、目黒くんが「あ、」と何かを思い出したようにリュックをガサゴソと漁る。




「あった」

そう言った目黒くんの手にあったのは、筒に入ったポテトチップス。


「それいつから入ってるやつ？まさか、」

「いや、そんな前からじゃない。1週間くらい？」

「なんで持ち運んでんの」

「食べようと思って買ったけど、食べるタイミング逃した」


目黒くんの言葉を信用しないわけではないけれど、なんとなく前にリュックの整理をさせられたときに賞味期限切れのおにぎりが出てきたという衝撃的な事件が頭をよぎる。

目黒くんの手からポテトチップスを取ると、こっそり賞味期限を確認した。
目黒くんにバレないようにしていたつもりだけど、思い切りバレていたようで「ねぇ、今賞味期限見たでしょ」と言われてしまった。




「ちゃんと大丈夫だった」

「当たり前じゃん」

そう言うと目黒くんは、私の手からポテトチップスの筒を取り封を開ける。


「あ、始まるよ」

本編が始まることを知らせるタイトル画面が映し出されると、どちらかともなく口を閉じ、じーっと画面に視線を向けた。


.

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す