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そんなくだらない話をしている間は、俺たちは“幼馴染”でいられた。
それが心地いいと思う反面、いつまで、俺たちはそれぞれの中に抱く感情から目を反らして仲良しごっこを続けていくのだろう、とも考える。
俺たちの“幼馴染”という関係は思った以上に危うく脆い土台の上に築き上げてしまっていたようだ。
Aの視線は相変わらず涼太のほうを向いていた。
向かい合って座る涼太に必然的に視線が向くのは仕方のないことだが、その仕方ないと思える以上にAの視線が涼太へと向けられている気がした。
Aの隣に座っているのに、なんだかとてつもない距離を感じて心がざわめく。
なんで涼太ばっかりなんだよ。
いつもみたいに俺のことだけ見てればいいじゃねぇか。
そんな子どもみたいな独占欲が次第に体の中で大きくなっていく。
涼太の話を楽しそうに聞くAが壁にもたれかかる。
酔いも回ってきたのだろう。
座敷に置かれたAの手はいつにもまして魅力的に見えた。
「ふはっ、なに言ってんだよ」
涼太の言葉にそう笑いながら壁に寄りかかる体勢になり、あくまで自然を装って重ねた手にAは何か言いたげな小さな視線を投げかけた。
俺はその視線をあえて知らぬふりをしてそのままAの手を掴むと、親指の腹でそっと手のひらを撫で上げた。
びくっ、と分かりやすいほどに身体を震わせ反応するAに思わず口元が緩みそうになる。
それを誤魔化すようにビールの入ったグラスに口を付けた。
その間もゆっくり、Aの手のひらに指を滑らせる。
「ん」という小さく漏れ出た声は、俺の耳にだけ届きあとは店内の賑やかな声の中に消えていく。
「ちょっと、トイレ行ってく、る」
Aは慌てた様子で立ち上がり、個室を出て行く。
その姿を見れば、顔は真っ赤に染まっていた。
それは酒を飲んだせいなのか、それとも俺のせいなのか。
本当のところはわからないけれど、俺が少しでも関係しているかと思うと妙に心が浮足立った。
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さーや(プロフ) - strawberrykiwiさん» 読んでいただきありがとうございました！舘様はほんと不憫な役回りになってしまいました…クズの中にも救いがあればいいな、と書いたお話なので感想いただけてとても嬉しいです。 (2020年5月13日 13時) (
レス) id: 6178770b80 (このIDを非表示/違反報告)
strawberrykiwi(プロフ) - 切ないだけでは言い切れないお話でした。何と表現したらいいか。涼太君には悪いけど、2人には良かったね、と頭を撫でたい気持ちになりました。丁寧に綴られたお話をありがとうございました。 (2020年5月13日 5時) (レス) id: 6d6dcef09a (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - ほちさん» 読んでいただきありがとうございます！クズなしょぴに少しでも救いを…と思いながら書きました。笑 また機会があったら読んでくださいね。 (2020年3月12日 10時) (レス) id: 6178770b80 (このIDを非表示/違反報告)
ほち - 本当に良かったです！切なすぎて泣いてしまったくらいです。素敵なお話ありがとうございました！次回も楽しみにしてます！！ (2020年3月12日 1時) (レス) id: e418232ef2 (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - 野良(のら)さん» 私の書くしょぴ、いつもどことなくクズ感溢れてるけど大丈夫です・・・？笑 でも好きだって言ってもらえてうれしいです！またどんどんお話書くのでもしよければ読んでくださいね〜！ (2020年3月9日 13時) (レス) id: 4528227f28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さーや
| 作成日時：2020年2月23日 22時
