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ハンガーにジャケットを掛けながら「今日は翔太の奢りね」なんてふざけたことを言うAの髪をぐしゃりと撫でる。
それは涼太への威嚇でもあった。
“俺とAはお前がいない2年の間もずっと繋がってたんだからな”
そう言う思いを込めながら、見せつけるようにAの髪を撫で上げ、そのままAの横に腰を下ろす。
隣に座った俺にAは少し不服そうな顔を見せたが、俺はお構いなしにその場に居座る。
少しくらいマウントとらせてくれたっていいじゃねぇか。
「2人とも相変わらずだね」
Aと俺のやり取りを見て涼太はおかしさを堪えきれないのか、肩を震わせながら目を細めてこちらを見る。
そういえば、俺たち3人はいつもこんな風だったな、と思い出す。
Aと俺がつまんないことで言い争いをして、それを涼太が少し離れたところから笑って見守っている、そんな関係がずっと続くと思っていた。
幼い頃の記憶が急にぐわっと押し寄せてなんとも言えない気分になった。
俺たちはもう大人になってしまった。いつまでも仲良しこよしの3人組でいれるわけなんてないのだ。
「で、アメリカどうだったん？」
運ばれてきた酒と料理に適当に手を伸ばしながら、この2年間を埋めるように話をする。
まぁ改まって話をするようなことはなくて、基本的にはいつもみたいに他愛もない話をするだけなのだけど。
「よかったよ、すごい勉強になった。色々大変ではあったけどね」
「なんか行く前よりロイヤルな雰囲気に磨きがかかってるよ」
涼太の言葉にAがふふふ、と笑う。
「ロイヤルはイギリスだろ、アメリカ関係ねぇじゃん」
俺がそう言うと「翔太、そう言うのちゃんとわかるんだね」とわざとらしく驚いた表情でAがこちらを見るものだから「バカにすんじゃねぇよ」とAの肩を小突く。
「昔はちょっとあれだったけど、それだけ翔太も大人になったってことだね」
「おい、あれってなんだよ涼太」
テーブルを挟んで向かい側に座る涼太に体を近づけて抗議をすれば、今度は涼太があはは、と楽しそうに声を上げた。
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さーや(プロフ) - strawberrykiwiさん» 読んでいただきありがとうございました！舘様はほんと不憫な役回りになってしまいました…クズの中にも救いがあればいいな、と書いたお話なので感想いただけてとても嬉しいです。 (2020年5月13日 13時) (
レス) id: 6178770b80 (このIDを非表示/違反報告)
strawberrykiwi(プロフ) - 切ないだけでは言い切れないお話でした。何と表現したらいいか。涼太君には悪いけど、2人には良かったね、と頭を撫でたい気持ちになりました。丁寧に綴られたお話をありがとうございました。 (2020年5月13日 5時) (レス) id: 6d6dcef09a (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - ほちさん» 読んでいただきありがとうございます！クズなしょぴに少しでも救いを…と思いながら書きました。笑 また機会があったら読んでくださいね。 (2020年3月12日 10時) (レス) id: 6178770b80 (このIDを非表示/違反報告)
ほち - 本当に良かったです！切なすぎて泣いてしまったくらいです。素敵なお話ありがとうございました！次回も楽しみにしてます！！ (2020年3月12日 1時) (レス) id: e418232ef2 (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - 野良(のら)さん» 私の書くしょぴ、いつもどことなくクズ感溢れてるけど大丈夫です・・・？笑 でも好きだって言ってもらえてうれしいです！またどんどんお話書くのでもしよければ読んでくださいね〜！ (2020年3月9日 13時) (レス) id: 4528227f28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さーや
| 作成日時：2020年2月23日 22時
