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Ren side
あれから数日、見事なまでにAさんには避けられている。
今朝だって、出掛ける時間が被ったのに、Aさんは軽い挨拶だけして「じゃぁ急ぐから!」と俺の顔を見ることなくアパートの階段を駆け下りていった。
その態度が俺を意識してのことなのか、それとも完全に嫌われて距離をとられているのか、その判別が出来ずにいた。
Aさんとなんでもない話をする時間が好きだったのに、今はそれさえも失ってしまった。俺の癒しがない。
「翔太くんのばか」
隣で美顔ローラーをしている翔太くんに八つ当たりをすると、「急になに」と眉間にシワを寄せこちらを見てくる。
「めっちゃ避けられてるんですけど」
この前、相談した、と続けると「え、お前まさかまじでキスしたの?!」と驚きの声を翔太くんが上げる。
「・・・しましたよ、した結果、すっげぇ気まずい感じになってるんですけど」
あのまま意識されぬまま平行線の関係を続けるのも嫌だったけれど、かと言ってこれほどまでにあからさまに避けられるのも地味に堪える。
あの日、キスをしたせいもあって、頭の中はAさんのことでいっぱいだし、掻き消そうとすればするほど、胸は苦しくなるし。
なんだか思春期に逆戻りしたいみたいだな、なんて一人苦笑いをしたりして。
「え、なんかごめん」
「いや、翔太くんは悪くないです」
「えーでも俺のせいじゃん」
「そう思うならこれからどうしたらいいか考えてください」
真面目にですよ、と付け足すと翔太くんは「俺はいつだって真面目なんだけど」と不服そうな声をあげた。
「んー・・・どうすんのがいいのかね」
腕組みをしながら二人で天井を見上げる。「んー」「なんかねぇ」「ねぇな」などと全くもって前には進まない話し合い。
「ここは、モテ男のふっかに聞こう」
考えることを放棄した翔太くんはそう言うとふっかさんに声を掛ける。
ふっかさんは「なによなによ」となんだか少し楽しそうな表情で俺と翔太くんからこれまでの経緯を聞くと「それなら俺、良いアイディアあるけど」とすごい腹の立つほどのドヤ顔で、提案をしてきた。
「それいいアイディアか?」
「これしかねぇだろ」
「上手く行くんすかね」
上手く行っても行かなくても、今の状況からは嫌でも脱することが出来るだろう、と俺はそのふっかさんのアイディアに乗ることに決めた。
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さーや(プロフ) - mikantoamechanさん» こちらこそ読んでいただきありがとうございます!付き合ってからのお話書きたいですね〜付き合ってからも振り回したいし振り回されたい!笑 (2020年3月5日 10時) (レス) id: 6178770b80 (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - xxpanxxさん» ありがとうございますー!イベント毎のお話いいですね、書きたい! (2020年3月5日 10時) (レス) id: 6178770b80 (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - くりさん» いつも書き方迷ってしまうのでそう言っていただけて嬉しいです。続きますかね?のんびり書きましょうかね。 (2020年3月5日 10時) (レス) id: 6178770b80 (このIDを非表示/違反報告)
mikantoamechan(プロフ) - めっちゃ面白かったです!素敵な物語本当ありがとうございました!更新がいつも楽しみでした!非常に厚かましいですが、付き合ってからの続編(できれば長編)を希望します!! (2020年3月5日 3時) (レス) id: a1d9c0f6b4 (このIDを非表示/違反報告)
xxpanxx(プロフ) - 凄いおもしろくてきゅんとしてました!イベント毎の続きのお話あれば嬉しいです! (2020年3月5日 2時) (レス) id: d7347442ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さーや | 作成日時:2020年2月18日 15時