・ ページ15
Ren side
仕事が予想以上に押しに押して、やっと帰宅したのは夜もとうの昔に更けた頃だった。
マネージャーの車に揺られ、アパートに着くと目の前に一台のタクシーが止まっていた。
珍しいな、と思いながらその横を通り過ぎる。
ふと、視線を上にあげればアパートの廊下に佇む2人の影。
よーく見て見ると、隣人のAさんと知らない男。
何やら親しげに話していたかと思うと、そっと男がAさんの腕を引いて顔を近づけた。
陰になってよく見えないが、おそらくキスでもしたのだろう。
タンタン、と駆け下りてきたその男は、止まっていたタクシーに乗り込んで去って行った。
Aさんもそういう相手いるんだ。
なんだかぽっかりと心の中に穴が開いたような気分になった。
別にAさんは俺のものでもなんでもないけれど、それでもなんだかんだと気になって事あるごとにAさんに頼ってしまう自分もいた。
あぁなんかしばらく俺ダメかも。
そんなことを思いながら、仕事終わりで重い足取りがより一層重くなる。
階段を上り終えたところで、Aさんと目があった。
この人いつまでここにいんだよ、なんて八つ当たりもいいところの感情を必死に噛み殺した。
「夜遊びですか？」
意地悪いな、と自分でも思う。
だけれど、妙にささくれだったこの感情を止められなかった。
「ちがっ、そっちこそ今帰りなの？」
「ん、仕事長引いた」
自分で聞いたわりにAさんは興味なさそうで、ふーんそう、と答えるだけだった。
なんだそれ。
もっと俺に興味持ってくれたっていいじゃん、なんて思う。
まぁAさんから見れば俺は年下のガキにしか見えないのだろうけど。
「さっきの彼氏？」
傷つくなら自分からのほうがいい、とわざとそんな核心めいたことを聞く。
傷つくのなんて目に見えているのに我ながらバカだな、なんて思う。
「ちがう。ただの同僚」
「ふーん。ただの同僚なのにキスすんだ」
無性に腹が立った。
なんだよ、ただの同僚はあんな距離感になんてならねぇだろ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2809人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さーや(プロフ) - mikantoamechanさん» こちらこそ読んでいただきありがとうございます！付き合ってからのお話書きたいですね〜付き合ってからも振り回したいし振り回されたい！笑 (2020年3月5日 10時) (
レス) id: 6178770b80 (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - xxpanxxさん» ありがとうございますー！イベント毎のお話いいですね、書きたい！ (2020年3月5日 10時) (レス) id: 6178770b80 (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - くりさん» いつも書き方迷ってしまうのでそう言っていただけて嬉しいです。続きますかね？のんびり書きましょうかね。 (2020年3月5日 10時) (レス) id: 6178770b80 (このIDを非表示/違反報告)
mikantoamechan(プロフ) - めっちゃ面白かったです！素敵な物語本当ありがとうございました！更新がいつも楽しみでした！非常に厚かましいですが、付き合ってからの続編（できれば長編）を希望します！！ (2020年3月5日 3時) (レス) id: a1d9c0f6b4 (このIDを非表示/違反報告)
xxpanxx(プロフ) - 凄いおもしろくてきゅんとしてました！イベント毎の続きのお話あれば嬉しいです！ (2020年3月5日 2時) (レス) id: d7347442ff (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さーや
| 作成日時：2020年2月18日 15時
