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チェーンを開け、ドアを大きく開けると、「これよければどうぞ」と紙袋を差し出された。
「わざわざご丁寧にありがとうございます」
「ベタに蕎麦ですけど」
そう言って彼は小さく笑った。
あぁなんて丁寧で礼儀のある子なのだろう。そんな子がお隣に引っ越してきてくれたなんてよかった、と思った。
思ったけれど。
「あー・・・お蕎麦。じゃぁお気持ちだけで」
そう言ってさっき受け取った紙袋を彼に返すと、彼は不思議そうな顔で首を傾げた。
まぁたしかに一度受け取ったものを返すなんて、そんな無礼なことはないだろう。
ただ、私にはどうしてもそれを受け取れない理由があった。
「あの・・・申し上げにくいのですが、私、実は蕎麦アレルギーでして・・・」
気を遣って持ってきてくれたものをこんな風に断るのは本当に申し訳ないのだけれど、ただ蕎麦だけはもらったとしても消費出来ずゴミになってしまう。
それなら彼に食べてもらったほうが、本来の彼の気持ちとは異なるだろうが、蕎麦も天寿を全うすることが出来る。
「うっわ、まじっすか」
彼は一気に気まずそうな顔をして後ろ頭を掻く。
「なんかお気遣いしてもらったのに、逆にすみません」
慌ててそう頭を下げると、彼はより一層困ったような表情をする。
「まじか・・・じゃぁどうしよ、これ」
「ご自分で召し上がっては?」
私の提案に彼は眉間にシワを寄せるとまた後ろ頭を一掻き。
「あぁ・・・あの、俺、料理全くできないんです。蕎麦ってどーやって作るんですか?」
「は?」
いくら料理が出来なくたって、なんとなく蕎麦のゆで方なんてわかるものでは?
私の頭の上にクエスチョンマークがどんどん増殖をしていく。
『この先、この人一人暮らし出来るのかな』
それが彼、目黒くんとの出会いであり、私の平凡な日常が終わりを告げた瞬間であった。
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さーや(プロフ) - mikantoamechanさん» こちらこそ読んでいただきありがとうございます!付き合ってからのお話書きたいですね〜付き合ってからも振り回したいし振り回されたい!笑 (2020年3月5日 10時) (レス) id: 6178770b80 (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - xxpanxxさん» ありがとうございますー!イベント毎のお話いいですね、書きたい! (2020年3月5日 10時) (レス) id: 6178770b80 (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - くりさん» いつも書き方迷ってしまうのでそう言っていただけて嬉しいです。続きますかね?のんびり書きましょうかね。 (2020年3月5日 10時) (レス) id: 6178770b80 (このIDを非表示/違反報告)
mikantoamechan(プロフ) - めっちゃ面白かったです!素敵な物語本当ありがとうございました!更新がいつも楽しみでした!非常に厚かましいですが、付き合ってからの続編(できれば長編)を希望します!! (2020年3月5日 3時) (レス) id: a1d9c0f6b4 (このIDを非表示/違反報告)
xxpanxx(プロフ) - 凄いおもしろくてきゅんとしてました!イベント毎の続きのお話あれば嬉しいです! (2020年3月5日 2時) (レス) id: d7347442ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さーや | 作成日時:2020年2月18日 15時