43 ページ44
Daisuke side
「Aちゃん、お前のファンの子に、駅の階段から突き落とされたんだよ、」
そう言った阿部ちゃんの声は俺でも分かるくらいにひどく震えていた。
なのに、こちらに向けられる目は一点の迷いもなくて、ただひたすらに真っ直ぐで鋭い。
阿部ちゃんの言葉は耳に入ってくるのに、その意味は不思議なくらいに頭に入って来なくて。
ただ記号と化したその言葉がぐるぐると全身を無意味に駆け巡っていく。
俺のファン？
突き落とされた？
・・・なんのこと、それ。
そんな話、全然知らない。
だって、あいつ、少し疲れた感じは見せてたけど俺の前ではいつもと変わらずに笑ってたじゃん、
「なに言ってんの、阿部ちゃん、」
知らない、知らない、そんなの知らない。
阿部ちゃんと2人で俺のこと騙して、バカにしてたんじゃないのかよ？
「A、佐久間には言えないって。佐久間が傷ついて苦しむからって、言わないで、その代わり1人で抱え込んでたんだよ、」
ねぇ、聞きたくない、聞きたくない、聞きたくないよそんなの。
「でも、1人で耐えるには限界で、・・・んで、俺のところに助けを求めてきた、」
「なんだよ、それ、」
なんで、阿部ちゃんを頼ったの？
Aの彼氏は俺なのに、なんでそんな大事なこと言ってくれないの？
・・・俺ってそんな頼りないの？
「Aちゃん、佐久間のこと大事に思ってるから、佐久間に笑ってて欲しいから、だから言えなかったんだよ、」
そんなことも分かんねぇのかよ、って言いたげな阿部ちゃんの視線がグサグサと体中を刺していく。
そんな優しさかけてくれるくらいなら、陰で騙して、バカにしてくれてたほうが数億倍マシだった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 199人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さーや(プロフ) - すずさん» 最後まで読んでいただきありがとうございました！泣いただなんて嬉しすぎます…！ (2020年6月1日 16時) (
レス) id: 4528227f28 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 泣いちゃいました；；とても素敵なお話でした；； (2020年6月1日 13時) (レス) id: f91208f58d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さーや
| 作成日時：2020年5月12日 16時
