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A side
直接会って話をしなければ。
あの日から何度もそう思うのに、体は上手く動かなくて。
でも、今日こそは、ってそんな動かない体に無理矢理鞭を打って大介の家へと向かった。
大介の家に行くのに、こんなに気が重くなる日が来るなんて思いもしなかった。
いつもこの家に来るときは楽しさとドキドキしかなかったのに。
なんで、こんな風になってしまったんだろう、ってまた後悔の波が大きく打ち寄せる。
「大介、」
どれくらいそうしていたのか分からない。
見覚えのある歩き姿が遠くに見えた瞬間、涙で視界が揺れた。
「なんでいんの、」
明らかに嫌そうな大介の声が出て私を容赦なく殴りつけてくる。
もうそこには恋人同士の愛情なんて1ミリも存在していなくて、ただ嫌悪感だけが色濃く漂っていた。
「話を聞いて欲しくて、」
「阿部ちゃんといい、Aといい、2人してそれかよ、」
うんざりすんだけど、って苛立った様子で帽子を取って髪を掻き乱す大介。
その姿に喉の奥の苦しみが増す。
「なんかさ、最近ずーっとAが変だなって思ってたんだよ。仕事でなんか悩んでんのかな、って思ってたけど、あぁいうことだったんだね」
「なんのこと、」
「俺なんかより阿部ちゃんのがいいんでしょ？そりゃそうだよね。頭いいし、優しいし、イケメンだし。バカな俺なんかと一緒にいるより楽しいもんね、？」
矢継ぎ早に紡がれて行く大介の言葉に目の前が真っ暗になっていく。
違うのに。
そうじゃないのに。
否定したいのに、苦しくて言葉が出てこない。
「だい、すけ、」
掠れて、辛うじて言葉の形を保っただけの不格好なソレは、大介に届く前に足元へとバラバラと落ちて行ってしまう。
「・・・別れよ、俺たち」
大介の声は、震えることもなくどこまでも真っ直ぐだった。
その真っ直ぐな声は、私の体をいとも容易く貫通して、鈍い痛みを残していった。
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さーや(プロフ) - すずさん» 最後まで読んでいただきありがとうございました！泣いただなんて嬉しすぎます…！ (2020年6月1日 16時) (
レス) id: 4528227f28 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 泣いちゃいました；；とても素敵なお話でした；； (2020年6月1日 13時) (レス) id: f91208f58d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さーや
| 作成日時：2020年5月12日 16時
