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A side
「んん、」
ぼんやりと明けていく眠気の奥のほうで、真っ白な天井が視界に揺れる。
体はふんわりとした温かさに包まれていて、それがベッドの上だということにしばらくして気づく。
あれ、私いつの間にベッドに？
昨日はたしか、阿部くんにあのときのことを話して。
そのあと、、
あれ？そのあとのことが全然思い出そうとしても思い出せない。
回らない頭で、昨日のことを必死に思い出そうとしているその隙間で、右手に微かな熱を感じた。
なにこれ？
熱の根源を探るように、やっと少しずつはっきりとしてきた視界でその先を探る。
「阿部、くん？」
私の右手の先。
そこには私の手を握って、ベッドに突っ伏して眠る阿部くんの姿があった。
「ん・・・、あ、」
私の声に阿部くんはゆっくりと目を開くと、まだ眠気の残る瞳でこちらに優しく笑いかけた。
「おはよ、」
「おはよう？」
状況が飲み込めない私。
そんな私に寝起きだというのにやけに整った阿部くんの、ふにゃりと表情を崩して笑った。
「あの、これは、」
「あぁ。昨日帰ろうとしたら『いかないで』って言われて手握られちゃって」
なんか振りほどくのも悪いかな、って思ったら俺も寝ちゃった、って阿部くんは笑う。
「うっそ、ごめんなさい、私」
「いいよ、1人でいるの怖かっただろうし」
「あの、」
「それより、久しぶりにちゃんと寝れた？」
阿部くんは私が眠れていないのを見透かしているようだった。
たしかにあの日以来、何かに付き纏われているような不安感が私の体に常に纏わりついていて、夜もそのせいであまり眠れていなかった。
でも、昨日は久しぶりによく眠れた気がする。
やけに軽くなった体が何よりの証拠だ。
「うん、なんかびっくりするぐらい体軽くなった」
「ふはっ、それはよかった」
阿部くんはそう笑うと「あんまり1人で抱え込んじゃだめだよ」って私の頭をそっと撫でた。
それは先ほどまで右手にあった心地の良い熱と同じ熱で、少しだけ胸の奥のほうで何かが揺れた気がした。
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さーや(プロフ) - すずさん» 最後まで読んでいただきありがとうございました！泣いただなんて嬉しすぎます…！ (2020年6月1日 16時) (
レス) id: 4528227f28 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 泣いちゃいました；；とても素敵なお話でした；； (2020年6月1日 13時) (レス) id: f91208f58d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さーや
| 作成日時：2020年5月12日 16時
