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「・・・あの、ね、」
途切れ途切れにしか紡ぐことの出来ない不格好な言葉。
阿部くんはそんな言葉にそっと優しく相槌を打つ。
私はそんな阿部くんの優しさに甘えるようにポツリ、ポツリ、と自分の身に起きたことを話す。
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それが起こったのは、夕方。
仕事も終わり、いつも通りスーパーに寄ってあれを買おうこれを買おうってそんなことを考えながら電車に乗り込む。
帰宅ラッシュとまではいかないがそこそこに混みあった車内は、誰かと体が触れ合う、そんな状況だった。
いつまで経っても満員電車っていうものにはなれないな、なんて1人苦笑いを浮かべながら、窓の外を流れていく景色をそっと眺めていた。
最寄り駅について、吐き出されるようにホームへと降り立つ。
私と同じようにうんざりした表情を浮かべながら改札へと向かう波に乗り込んで、少しでもこの息苦しさから解放されたいってそう思った。
改札を抜け、家への道へと繋がる階段にそっと足をつける。
少なくも多くもない人影。
それに混ざるように階段を一歩、一歩と降りていく。
いつもと変わらない時間。
いつもと変わらない景色。
いつもとなにもかわらない
『アンタなんか佐久間くんに相応しくない』
いつもと変わらないはずのその空気を切り裂く、鋭いナイフのような言葉。
冷たくて、温度を持たない、ただただ、私に対しての憎しみと大介に対しての大きすぎる愛が込められた、鋭くて、冷血な、言葉。
その言葉と同時に背中にドン、と強い衝撃が走った。
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さーや(プロフ) - すずさん» 最後まで読んでいただきありがとうございました！泣いただなんて嬉しすぎます…！ (2020年6月1日 16時) (
レス) id: 4528227f28 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 泣いちゃいました；；とても素敵なお話でした；； (2020年6月1日 13時) (レス) id: f91208f58d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さーや
| 作成日時：2020年5月12日 16時
