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A side
「大丈夫、大丈夫、」
目の前の阿部くんに必死に言葉をぶつけようとするのに、それは嗚咽に交じって言葉にもならずに虚しくフローリングへと落ちていく。
勢いよく泣いたせいで、呼吸も途切れ途切れになって、下手をすれば詰まってしまいそうなその呼吸が喉の奥で詰まって苦しさを呼ぶ。
そんな私を落ち着かせるように、私の背中をさする阿部くんの手が優しい。
大介の手より少しだけ大きなその手が背中を撫でるたび、なぜだか胸がギュッと締め付けられるような感覚がした。
どれくらいそうしていただろう。
やっと小さくなった嗚咽と整い始めた呼吸。
喉の奥を塞ぐ息苦しさも小さく影を潜めた。
大丈夫、って顔をあげた瞬間、目の前の阿部くんと視線が絡まった。
阿部くんの真っ直ぐ向けられる、でも優しいその視線にまたぐらり、と視界が揺れる。
「何があったの」
阿部くんの声はどこまでも優しくて、どこまでも私を包み込んでくれる。
そんな気がした。
「・・・阿部、くん、」
「ん？」
涙のせいで枯れた声。
喉の奥に引っかかって上手く出てこない言葉が、また先ほどまでの悲しさを思い出させる。
「あのっ、わた、し」
「いいよ、ゆっくりで」
話そうとすればするほど、また涙の色が滲みだす。
それを責めることもせず、阿部くんはただ優しくただ静かに私の背中をさする。
背中から伝わるその熱が、阿部くんの優しさと混ざり合って私の体の中を勢いよく駆け巡っていく。
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さーや(プロフ) - すずさん» 最後まで読んでいただきありがとうございました！泣いただなんて嬉しすぎます…！ (2020年6月1日 16時) (
レス) id: 4528227f28 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 泣いちゃいました；；とても素敵なお話でした；； (2020年6月1日 13時) (レス) id: f91208f58d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さーや
| 作成日時：2020年5月12日 16時
