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Daisuke side
5月の終わり。
季節外れの暑さと、もうすぐそこにまでやって来ている梅雨の訪れ。
そのふたつが混ざり合った湿っぽさを含んだ空気が、じっとりと体にまとわりついてくる、この感覚が昔から大嫌いだった。
「なんで、日本ってこんなに湿気に溢れてるんだろ、」
「気圧配置と海に囲まれてるせいでしょ」
「そーなの？」
「そうなの」
コンビニの前。
さっき買ったばかりの棒アイスに齧り付きながら、Aの言葉を右から左へと聞き流す。
いや俺が聞いたんだけど、でもそんなの全然頭に入ってこないくらいにこのじっとりした暑さと湿気が俺の体を蝕んでいく。
体内に流れ込んでいくアイスの冷たさが、生きてるってことを感じさせてくれる。
「5月にアイスってどーなのかね」
「別にアイスはいつ食べたっていいでしょ」
Aは俺の話にあんまり興味はなさそう。
いつだって俺の発する言葉に何かと言えば不機嫌そうに返してくるくせに、でも話をしないとしないで「なんで何も話さないの？」なんてまたしても不機嫌な声を上げるものだからよくわからない。
「ねぇー、大介」
「なに？」
「付き合って欲しいんだけど」
「どこに？」
買い物とかなら全然一緒に行くけど？なんてAの顔を覗き込めば「そーじゃない」ってまた不機嫌そうな顔。
「そーじゃない、ってなんだよ」
「だってそういうことじゃないもん」
「わっかんねぇんだけど、」
Aが俺に付き合ってなんて言うことなんて買い物とか、どっか行くとかそういう類のことしか思い浮かばない。
っていうかそもそもそれ以外に何があんの？
「私、大介のこと好きなの。だから付き合って、ってそういう意味なんだけど、」
どんどん小さくなっていく語尾。
それと反比例するように真っ赤になっていくAの顔。
なに、その顔、
「・・・は？」
そんな顔のA、これまで20数年一緒にいたけど、一度も見たことない。
ぐしゃ、って何かが落ちる音。
その音で現実に引き戻されて、足元を見れば、アイスがアスファルトに不格好なシミを描いていた。
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さーや(プロフ) - すずさん» 最後まで読んでいただきありがとうございました！泣いただなんて嬉しすぎます…！ (2020年6月1日 16時) (
レス) id: 4528227f28 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 泣いちゃいました；；とても素敵なお話でした；； (2020年6月1日 13時) (レス) id: f91208f58d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さーや
| 作成日時：2020年5月12日 16時
