20 ページ21
今日は定時＋1時間で仕事終了。
本当のことを言えばまだ仕事は残ってるんだけど、そこまでやるほどの気力がもう残っていない。
さて帰るか、とカバンを持って会社を出ると、入り口に向井が立っていた。
コーヒーショップのカップを片手にスマホを眺めている向井の姿は、どっかの雑誌から出てきたみたいで、思わず見惚れる。
黙ってればカッコいいんだよな、向井。無駄に顔もスタイルもいいし。
「…じっと見てんのキモいんやけど」
私の視線に気づいた向井がスマホから視線をあげて、そう一言。
いや、ほんと口を開いたら残念だわ、こいつ。
「なんでいんの？」
「Aのこと待ってたに決まってんやろ」
さも当たり前みたいに言うけど、私、向井と何か約束してたっけ？
「え、なんか約束してた？」
「してない」
じゃあなんで、って言おうとしたら「行くで」って向井がどんどん進みはじめるものだから、慌ててその背中を追う。
#
「ねぇ、意味わかんない」
向井について行って辿り着いたのは、私の家の最寄駅だった。
状況が飲み込めないでいる私を見て向井は「すげぇ変な顔しとるで」なんて笑うけど、それにうまく反応できないのが悔しい。
「Aが知らない男にほいほいついていかんように見張ろう思てな」
「いや、だからほいほいついていったわけじゃないって」
私の反論に向井は興味なさそうな反応。
なんなの、ほんとこいつ。
「で、Aの家、どっち？」
「は？家までついてくる気？」
「当たり前やろ」
さも当然みたいに言いますけど、全然当たり前じゃないし。
何が楽しくて向井に自分の家教えなきゃなのよ。
教えたら最後、何もないときに押しかけられそうだから嫌なんだけど。
「ねぇ、向井」
「なん？」
「お腹すいた」
私の言葉に向井は盛大なため息をひとつ。
だって、残業したし。お腹も空くでしょうよ。
それにどうにかして向井が家に来ることを阻止したい。そのための作戦を練りたい。
「どこで食う？」
なんかおすすめとかあるん？って諦めたように向井が言う。
うーん、ここら辺チェーン店ばっかりで、どこもゴミゴミしててあんまりいいところないんだよなぁ…
「あ、」
思い浮かんだひとつのお店。
場所はかろうじで覚えている。
行こ、と歩き始めると「お前、急に動くなや！」なんて向井に一番言われたくない言葉を言われたけど、気にしない気にしない。無視無視。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 376人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さーや(プロフ) - 優希さん» すみません💦教えていただきありがとうございます。修正しました。 (2021年10月30日 4時) (
レス) id: 4b2ff4c864 (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - 28ページが原石のときのまま森本くんの名前が出てしまってます💦 (2021年10月29日 21時) (レス) @page28 id: 4434fac4a4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さーや
| 作成日時：2021年10月26日 21時
