はじめましても言えなくて ページ8
「あ、昨日俺の誘い断った奴」
『人聞き悪い事言わないでよ』
「葛葉の誘い断ったん？やるなぁ」
初めて聞くその人の声は思ってたより低くて、初めて近くで見る顔は思ってたより何倍もかっこよかった。色を抜いた髪が太陽に反射してキラキラしてる。
「あ、名前聞いてねぇや」
「黒瀬さんやろ？ありさかから聞いた事ある。」
『ありちゃんから？』
「ありさかの元カノやんな、俺、ありさかの親友」
『そ、うなんだ。』
「ちょっとA、しんどいみたいなんで教室帰りますね、じゃ。」
綾に手を引っ張られて階段の踊り場に座り込む。親友の元カノって、範囲内？
「まだ、終わった訳じゃないし、ね」
『どもんないでよ』
「ほんとに恋愛にツイてないよね」
『はぁぁ、でも、めちゃくちゃかっこよかった』
「元彼と正反対だけど」
綾の肩を叩いて、思い返す。悪そうな見た目なのに優しい笑顔で、笑い掛けられて、心臓が飛んで行くかと思った。
「ほら、教室戻るよ」
『は〜い』
バスの中もバイト中も頭の中はあの人の事ばかり。あ、名前聞いてない。
「溜息でかすぎ」
『自分の馬鹿さに呆れてるとこだから邪魔しないで』
「何かあった訳？」
『恋する乙女は大変なの』
「乙女？」
『うるさいな、そっちまだ汚れてるけど？』
カウンターを拭きながらふと気づく。ありちゃんって私に親友の話してくれなかったんだ。嗚呼、嫌な事に気づいちゃった。
「また溜息」
『ごめん』
「ほんとに大丈夫？」
顔を隠した手を退けられて、目が合う。涙が溜まっていくのが分かって、恥ずかしい。彼はそっと私の腕を引いて、私は彼の胸にもたれかかった。
『ごめん、シャツ濡れちゃう』
「いいから。」
『ごめん』
頬を伝う雫が止まるまで、彼は何も言わず胸を貸してくれた。彼を見上げて、涙が止まったことを伝える。彼は私の頬を摘んで、笑うとまた片付けに戻った。
「あ、居るじゃん。お礼言ってきたら？」
『うん』
次の日、昼休みに廊下でうるかを見掛けて、近づく。大きい声で言うのは恥ずかしかったから、彼の手を引いて、彼の耳元に口を寄せて『ありがと』と言って逃げた。
「うわ、照れてるよ」
『うるさい、早く行くよ』
彼の顔が赤くなってんのを見て私の体温まで上がっていく。次、会った時はからかってやろ。
「今日の放課後空いてる？」
『ん？イブは部活ないの？』
「ないよ。で、空いてる？」
『空いてるよ』
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な - 伏字お願いします (3月30日 22時) (
レス) id: 596a234c08 (このIDを非表示/違反報告)
髑髏(プロフ) - はじめまして、コメント失礼致します。とても好きな作風の作品に出会えてとても嬉しいです！可能であればkyng登場させられないでしょうか？更新楽しみにしています！ (1月15日 0時) (レス) id: cc975a844d (このIDを非表示/違反報告)
葛(プロフ) - 色んな人と絡みがあってとても面白いです！更新頑張ってくださいね。 (1月5日 6時) (レス) @page16 id: 039532f02f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あられ | 作成日時：2023年9月14日 8時
