スピーカー ページ30
〜だるまいずごっどside〜
「なんで？」
俺がそう問い掛けた彼女の答えは真上のスピーカーから流れるチャイムの音に掻き消されて俺の耳に届く事は無かった。
「ごめん。聞こえんかった。」
『何でもない！じゃ、行くね。誘ってくれてありがと。』
それだけ言って彼女は短いスカートをひらめかせて、扉の向こうに消えて行ってしまった。
いや、でもあの流れは好きって事でいいよな？えー、気になる。今更追いかけて聞くんもキモいし。これは、授業受けてる場合じゃないな。保健室行こ。
保健室の前に着くと、職員室の前で女の子が荷物を運ぶのに手こずってるのを見つけて駆け寄る。
「大丈夫？手伝うで」
「ありがとうございます」
「あれ？Aの友達ちゃんじゃない？」
「あ、うん。綾です」
どっかで見た事あるなと思ったらそうだ。結構やんちゃな見た目してるAとは反対にふわふわな感じの子で記憶に残ってる。
準備室までダンボールを運んで棚に上げる。その時、少し上の方に乗せようとしてた友達ちゃんが指を滑らせて上からダンボールが落ちてきそうになった所を引き寄せて助ける。
「危なかった。怪我してへん？」
「だ、大丈夫です。ありがとうございます」
「良かった。じゃ、俺行くねー」
落ちてきたダンボールを棚に乗せて俺はまた保健室に戻った。寝ようと思ってもAが頭にチラついて一睡も出来なかった。
バイト中も、家に帰ってご飯食べててもずっと頭の中はAで一杯でおかしくなりそうだった。
〜my side〜
放課後。だるさんの事を考えながら歩いてると校舎の裏で喧嘩してる声が聞こえて来た。
私の学校は偏差値も低めでガラも悪い方だから喧嘩の声が聞こえて来ても止めに来る先生は居ない。いつものように素通りしようとした時特徴的な髪色が目に入る。
『ロウくんだ』
中学校の一つ下の後輩で私が保健委員をしてる時によく保健室に来てて仲良くなった。ここの高校だったんだーと思いながら、一人で相手をどんどんやっつけてくロウくんを見てた。
相手が帰って行ってやっと振り返ったロウくんと目が合う。彼は目をぱちくりさせるとこっちに走って来た。
『久しぶり』
「いつから見てたんすか」
『ちょっと前。背高くなったね』
「成長期なんで。てか、あいつら帰ってきたら危ないんで帰って下さい。」
『分かった。あ、lineして！また遊ぼ！』
「はいはい。lineします。」
あーいう素直じゃない所がまた可愛い。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 708人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
な - 伏字お願いします (3月30日 22時) (
レス) id: 596a234c08 (このIDを非表示/違反報告)
髑髏(プロフ) - はじめまして、コメント失礼致します。とても好きな作風の作品に出会えてとても嬉しいです！可能であればkyng登場させられないでしょうか？更新楽しみにしています！ (1月15日 0時) (レス) id: cc975a844d (このIDを非表示/違反報告)
葛(プロフ) - 色んな人と絡みがあってとても面白いです！更新頑張ってくださいね。 (1月5日 6時) (レス) @page16 id: 039532f02f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あられ | 作成日時：2023年9月14日 8時
