私だけの碧 ページ20
車を止めて貰って、慌ただしくシートベルトを外して車から飛び出した。
『送ってくれてありがとうございました、あの、彼追いかけて来ます、』
「うん、行っといで」
その言葉に頭を下げて、すれ違った彼の背中を走って追い掛ける。
どんどん遠ざかってく背中に、大声で叫んだ。
振り向いた顔は見た事ないぐらい焦ってて、走ったせいで汗もかいてて、なぜか嬉しくて。
彼が走ってきて私の体をぎゅっと抱き締めた。私は笑って抱き締め返した。
「ごめん、思ってたより残業やらされて、一人やったらどーしよって思って、走ってきた」
『うん。ありがと、嬉しい』
「ちょ、離れて。俺汗臭い」
『今更気にしないよ』
抱き締めたまま彼の顔を見上げて、いつもみたいに頭を撫でてくれるのを待つ。
でも、触れたのは唇だった。
驚いて動けなくなる私の頬を、気まずそうな顔した彼が指で撫でた。
「ごめん、我慢出来ひんかった」
『ばにも、悪い男になったね』
「俺もってことは、Aも悪い子なの？」
その質問には答えなかった。ばにとはずっと幼なじみの関係で居たい。
『帰ろ』
「、おー」
帰り道、いつもよりも二人の間の距離が大きい気がした。それを縮める勇気は私には無かった。そうしたら何かが始まりそうで。
私を送り届けて、隣の家に向かう彼の背中に声を掛ける。
『バイト、忙しかったら迎えに来なくて大丈夫だから！』
「うん、でも一人では帰るなよ」
『分かった』
自分からそう言ったのに寂しくて仕方なくてその夜はご飯も食べずに寝てしまった。
次の日、いつものようにカフェについて準備して事務所から店に出る扉を開けた。
「あ、Aちゃーん！」
きらきらな笑顔で私に向かって手を振る彼を見つけて、私はどうしたらいいか分からなくなって扉を閉めてしまった。
後ろからうるかが来て、早く開けろと文句を言ってくる。
『だって、』
「もー、面倒臭いな開けるからどいて」
扉を開けた彼は私の手首を掴んで、店まで引きずり込んだ。
「その顔やめなよ、ありさんもいるから」
『え、分かった』
耳元でそう言われて、ちゃんとした顔を貼っつけてカウンターに入った。
「ごめんね、勉強する所貸せって言われて」
『なるせさんが謝ることじゃ無いですよ』
「じゃ、これだるまのとこ持ってて貰ってもいい？」
『はーい』
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な - 伏字お願いします (3月30日 22時) (
レス) id: 596a234c08 (このIDを非表示/違反報告)
髑髏(プロフ) - はじめまして、コメント失礼致します。とても好きな作風の作品に出会えてとても嬉しいです！可能であればkyng登場させられないでしょうか？更新楽しみにしています！ (1月15日 0時) (レス) id: cc975a844d (このIDを非表示/違反報告)
葛(プロフ) - 色んな人と絡みがあってとても面白いです！更新頑張ってくださいね。 (1月5日 6時) (レス) @page16 id: 039532f02f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あられ | 作成日時：2023年9月14日 8時
