本番交渉＊ ページ18
「一本ちょーだい」
『いーよ』
彼は煙草を咥えてその先を私の煙草の先に付けた。ジュッと紙の燃える音がして彼が顔を離す。
煙草を吸う彼はとても大人びて見えて、とても同い年とは思えなかった。こっちを向いた彼の目を隠す黒髪にそっと触れて、横に流してみる。
漸く見えた目は紅で、そのアレキサンドライトに魅せられて私から彼の唇を奪ってしまう。
「怖くねぇの」
『うん、綺麗』
煙草を手すりに押し付けて床に落とし、両手を彼の頭に添えて私から舌を絡めた。このまま溺れちゃうんじゃないかって位の深いキス。一度、顔を離して、唇が触れるか触れないかの距離で見つめ合う。
葛葉の熱い吐息を感じ、このまま欲に身を任せたい衝動が体に駆け巡って堪らなく彼のシャツを掴む。
「どーしたい？」
『だめ、なの』
「何で？」
『シたら、戻れなくなる』
葛葉から体を離して、煙草をもう1本取りだして火を付けた。夜風が昂った体を冷ましていく。
「戻れなくなったらダメなわけ？」
『二年生の内は大人しくするって約束したから。』
「へー、それどこまで許されんの？」
『するのは、無し』
「じゃもっかいキス」
煙草を落とした葛葉の片手で、頭を引き寄せられる。この人キスほんとに上手だな。葛葉の顔が下に降りて、首筋に寄せられる。
チクッとした痛みが走って、彼が顔を上げた。
「口でして」
『いいよ、中入ろ』
彼がベットに寝転がって、私は部屋の鍵を閉めてから彼のズボンのベルトを外した。
―――
次の日、少し早めに学校に着いた私は廊下で会った先生に用事を頼まれて生徒会室に向かっていた。
貰った鍵を使ってドアを開けると、小さな悲鳴が聞こえて顔を上げる。生徒会室の机に押し倒された女の子と押し倒している学校の天使。
『失礼しまし、た』
「Aちゃん、その紙いるんでしょ。」
『え、いや、』
天使こと叶さんは女の子をしっしと手で追い払うと怠そうに椅子に座った。
私は机の上にあった目当ての紙を手に取って、部屋を出ようとする。
「もー、Aが来なかったらやれたのに」
『こんなとこでやるのが悪いです』
「じゃあ、違うとこで相手してくれる？」
『面倒臭い叶さん出てますよ』
「ひどーい」
扉を開けて部屋を出て、職員室に向かった。叶さんも男なんだなとか思いながらその日は過ごした。
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な - 伏字お願いします (3月30日 22時) (
レス) id: 596a234c08 (このIDを非表示/違反報告)
髑髏(プロフ) - はじめまして、コメント失礼致します。とても好きな作風の作品に出会えてとても嬉しいです！可能であればkyng登場させられないでしょうか？更新楽しみにしています！ (1月15日 0時) (レス) id: cc975a844d (このIDを非表示/違反報告)
葛(プロフ) - 色んな人と絡みがあってとても面白いです！更新頑張ってくださいね。 (1月5日 6時) (レス) @page16 id: 039532f02f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あられ | 作成日時：2023年9月14日 8時
