甘えたい子犬 ページ48
葛葉が私のスマホを取ろうとして、押し倒された形になる。葛葉は一瞬固まって、私の肩に頭を押し付けた。
「何で、Aは俺のものじゃないの?」
『わがまま王様モード?』
茶化さないでというふうに鎖骨を甘噛みされる。彼の綺麗な髪に指を通す。背中に手を回してあやす様に背中を撫でる。
「一緒に風呂入ろ」
『いいよ』
「なぁ、俺の事、」
『ん?なに?』
「なんでもない」
彼は何かを言いかけて止めて、恥ずかしそうに頭を掻きながら風呂へ向かった。
『細いね、私でも折れそう』
「筋肉あった方が好き?」
『いや、特にこだわりはない』
ふたりで浴槽に入り、葛葉の薄い体に背中を預ける。ふたつの体が同じ温度で気持ちいい。
「眠たくなってきたわ」
『お風呂で寝たら危ないよ』
「お前とだったら死ぬのも悪くねぇよ」
私のお腹辺りに置いてある葛葉の手の甲を包む。細くて綺麗な指に長い爪が良く似合う。私は葛葉の手が結構気に入ってる。
「重い?」
『重いぐらいが丁度良いよ』
葛葉が喉を鳴らす音が聞こえた。さっきまで可愛い子犬だと思ってたのに。
「煽ったのお前だから」
『おいで、わんちゃん』
その細い体のどこにそんな体力があるのかと思うぐらい、狼は私を喰らい尽くした。
朝、誰かが話している声に目を覚ます。目を開けると、葛葉が私のスマホで誰かと話してた。ベットから出て、ソファに座ってる葛葉の膝に乗り、胸に頭を預ける。
「じゃあ、今日の俺も行くんで、よろしく〜」
『誰?』
「負け犬ふわっち。めちゃくちゃ悔しそうだった」
『なんで?』
「んー、ノーコメントで」
『いじわる〜』
話している内にまた眠たくなってしまって、私は葛葉の腕の中で眠ってしまった。他人の体温は最上の睡眠薬だと思う。
「おーい、起きろー」
『んー、』
体を揺さぶられて目を開く。目の前には赤い瞳が二つ私を見下ろしていた。いい匂いもする。
『お腹空いた。いい匂いする』
「コンビニで朝ごはん買ってきた」
『最高。』
コンビニご飯も分け合えばいつもの二倍美味しい。葛葉のどこか柔らかい雰囲気は一緒にいてとても心地良くて、私はずっと幸せな気分だった。
1887人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あられ(プロフ) - kikiさん» 最高なコメントありがとうございます( ᵒ̴̶̷̤◦ᵒ̴̶̷̤ )♡kikiさんの大好きな作品になれてとても光栄です。これからも頑張ります(˶'ᵕ'˶ )︎ (7月17日 8時) (レス) id: 14434f380f (このIDを非表示/違反報告)
あられ(プロフ) - 雨と雫さん» コメントありがとうございます(՞ . .՞)"剣/持さん、未成年、厳しくて。ほしるべさんがんばってみますね! (7月17日 8時) (レス) id: 14434f380f (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - 毎日読み返すほど大好きな作品です。皆んな其々魅力的でエチで最高…なにより夢主ちゃんの一言一句が可愛すぎます!あられさんの丁寧な構成と文章が大好きです。 (6月28日 0時) (レス) id: 06ea98624c (このIDを非表示/違反報告)
雨と雫(プロフ) - すごく面白いです!!できたらリクエストで剣/持さんとかできますかね?あとこれは本当に出来たらでいいんですけどほしるべさんとかできたりしますか?お願いします!!更新頑張ってください!! (6月27日 16時) (レス) @page45 id: 312a1378ed (このIDを非表示/違反報告)
あられ(プロフ) - にゃーちゃんさん» コメントありがとうございます(ᐢ>-<ᐢ)リクエスト助かります(˶'ᵕ'˶ )︎ (6月26日 8時) (レス) id: 14434f380f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あられ | 作成日時:2023年5月4日 8時