帰したくない ページ46
朝日の眩しさにそっと目を開ける。私は彼の腕の中に包まれたままだった。時間を確認しようと周りを見渡すと、ベットサイドの下に何か光るものが見えた。なんとか、腕から抜け出してそれを拾う。
『これ萌奈にあげたピアスじゃん』
「ん〜?もう起きんの?」
『ねぇ、湊。萌奈とも寝てるの?』
「あぁ、この前2人とも酔ってて、勢いで」
『いつ頃寝たの?』
「1週間前ぐらいかなぁ、あんま覚えてへんわ」
『へぇー』
「怒った?」
『ううん。私より良かった?』
「いいや。Aが今まで抱いてきた女の子の中で1番。」
そう言って彼は私をベットに引き戻した。こういうリップサービスに騙される程、初心じゃないけど寝起きには丁度いい。
「俺はAのオンリーワンになりたいけどね」
『嘘吐き』
一緒に朝ご飯を食べて、私の帰る準備が出来て玄関に向かうと、突然抱き締められる。
『どしたの〜?』
「帰したらまた他の男に抱かれるんやろ」
『今日は約束ないよ』
「じゃあ、おったらいいやん」
『2人とも仕事あるでしょ』
「そんなん」
『どうでも良くないよ、湊と会えるの待ってる人居るんだから』
彼の顔を手で包み、そう言い聞かせる。すると、悲しみを交えた瞳が段々近付いてくる。唇でそっと唇を食むような、今までに無いぐらい、優しくて甘いキスを彼はしてくれた。
『それ、好き』
「いつでもしたげる」
『嬉しい』
「そや、明日友達と飲み会するけど来ーへん?」
『私、お邪魔じゃない?』
「Aの事紹介したいし、来て?」
『分かった』
「やった。じゃ、時間連絡する。迎えに行くわ」
『りょーかい』
湊と別れて、タクシーで家に帰る。玄関の扉を開けると、テレビの音が聞こえてくる。
『テレビ付けて行ったっけ?』
少し、警戒しながらリビングの扉を開ける。
そこにはソファに寝転んでいる吸血鬼の姿があった。
『葛葉?』
「ん?おかえり。どこ行ってた?」
そう言って彼はソファから起き上がって近付いてくる。彼は私の首に口付けて、ムカついたように舌打ちした。
「ふわっちねぇ?」
『何で分かったの?』
「吸血鬼舐めんじゃねぇぞ」
『てか、勝手に入らない約束だったよね』
「窓の鍵閉めてないのが悪い」
『10階に窓から入る人なんて居ないもん』
私が愚痴を言いながら自分の部屋に向かうと、後ろから腕が回ってきて彼の腕の中に収められる。
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あられ(プロフ) - kikiさん» 最高なコメントありがとうございます( ᵒ̴̶̷̤◦ᵒ̴̶̷̤ )♡kikiさんの大好きな作品になれてとても光栄です。これからも頑張ります(˶'ᵕ'˶ )︎ (7月17日 8時) (レス) id: 14434f380f (このIDを非表示/違反報告)
あられ(プロフ) - 雨と雫さん» コメントありがとうございます(՞ . .՞)"剣/持さん、未成年、厳しくて。ほしるべさんがんばってみますね! (7月17日 8時) (レス) id: 14434f380f (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - 毎日読み返すほど大好きな作品です。皆んな其々魅力的でエチで最高…なにより夢主ちゃんの一言一句が可愛すぎます!あられさんの丁寧な構成と文章が大好きです。 (6月28日 0時) (レス) id: 06ea98624c (このIDを非表示/違反報告)
雨と雫(プロフ) - すごく面白いです!!できたらリクエストで剣/持さんとかできますかね?あとこれは本当に出来たらでいいんですけどほしるべさんとかできたりしますか?お願いします!!更新頑張ってください!! (6月27日 16時) (レス) @page45 id: 312a1378ed (このIDを非表示/違反報告)
あられ(プロフ) - にゃーちゃんさん» コメントありがとうございます(ᐢ>-<ᐢ)リクエスト助かります(˶'ᵕ'˶ )︎ (6月26日 8時) (レス) id: 14434f380f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あられ | 作成日時:2023年5月4日 8時