夜 ページ23
「…とりあえずはこんな感じかな。」
全員分の詳細を書き終わった翔さんが、ふぅ…と息を吐いた。
「翔さんだけ、副作用は無いんですか？」
ニノが眉根を寄せて尋ねると、翔さんは小さく唸った。
「今のところ、思い当たるものは特にないんだ。まだ見つけられてないだけだと思うけど…」
ニノも別に疑ってるわけじゃないと思うけど、確かに翔さんだけ当てはまらないのは不可解といえば不可解だ。
「ま、わかんないもんはしょうがないよね。」
難しい顔をして揃ってみんなが黙ったのが居心地悪かったのか、雅紀さんが手を叩いてそう言った。
…まあ、確かにそうだ。
わかんないものは悩んだってわかんないのだ。
「各々の能力については無理しない程度に探っていこう。よくわかってないことも多いんだ、少しずつでいいよ。で、わかったことがあったらこのノートに書いて欲しい。」
翔さんが広げたノートを見ると、5人分それぞれ1ページが割り振られていて、詳細を書くには十分な量だ。
「これから新学期が始まるけど、能力を使うのはこの部室のみ。これを徹底してほしい。他の生徒にバレたらどうなるかわからないし。」
みんながうんうんと頷いたのを確認すると、翔さんは話を続けた。
「何かあったら報告すること。今は少しでも情報が欲しいから。」
こんな真っ暗闇の中にいるような状況でも落ち着いていられるのは、たぶんみんなで一緒の状況にいるからだ。
もちろん不安はあるけれど、それでも闇に呑まれない自信があった。
「…今、何時？」
唐突な智さんの声に、みんなで揃って時計に視線をやる。
「もうすぐ12時。そろそろ寝ようか…ごめん、思ったより遅くなっちゃった。」
くぁーっとあくびをする智さんを見て翔さんがそう言うと、みんなゆっくりと寝支度を始めた。
「俺、明日朝練だよ…起きれるかな。目覚ましセットしてもいい？」
「確実に止めてくださいね？ずっと鳴りっぱなしでこっちが早朝に起こされるのはマジ勘弁なんで。」
ニノの言葉に恐る恐るタイマーをセットする雅紀さん。
そんなみんなの隣で、俺も自分の分の布団を敷いた。
「おやすみ。」
静かに夜が更けていく。
ふと見た窓の外では、満月が煌々と輝いていた。
「おやすみ。」
「おやすみ。」
もう一度、夜の挨拶を交わして
俺は静かに布団に潜った。
…パチリと目の前が暗くなる。
俺はゆっくりと瞼を閉じた。
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くろねこ(プロフ) - 柊さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて何よりです(*^^*)今後ともどうぞよろしくお願いします！ (2022年1月3日 21時) (
レス) @page31 id: 5b6f3182f9 (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - コメント失礼致します。『約束』の斗真くんの「誕生日おめでとう」に涙腺崩壊しました。大好きです。 (2022年1月2日 1時) (レス) @page31 id: 9a230f5c32 (このIDを非表示/違反報告)
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