暖かい空間 ページ16
帰り道。
俺は、気分を変えるためにそれとなく話題を変えた。
「もう課題全部終わったから、残りの夏休みは全部遊べますよ。」
「そっか。潤は終わったんだな、良かった。ただ残りのメンツは真面目に課題に取り掛かってるとは思えないな…」
翔さんが笑うと、いつものキリッとした眉毛がハの字に下がる。
俺は翔さんの笑顔が好きだ。
「今頃、昼寝でもしてるかもしれませんね。」
俺も続けてそう言って、机に突っ伏して寝るみんなの姿を想像して笑った。
時計を見ればお昼の時間はとっくに過ぎて、俺が部室を出てから3時間は経過している。
「お腹空いたな…そういや、昼ごはん食べてないんだった！」
翔さんの言葉に、俺も空腹を実感する。
「せっかくだから何か食べて帰るか。奢るよ。」
「やった！じゃ、お言葉に甘えて！」
喜んで歓声をあげると、翔さんは嬉しそうに笑って。
共に肩を並べて、すっかり蝉の鳴き声も少なくなった学校を後にした。
…
2人で正門を抜けて向かったのは、近くの蕎麦屋。
俺は前を通ったことしかなかったけど、どうやら翔さんは行きつけのお店のようで
暖簾をくぐるとガタイのいい元気な店主が俺らを見て豪快に笑った。
「らっしゃい！翔、今日は友達と一緒か！」
「こんにちは。こっちは後輩の潤です。」
紹介を受けた俺が「こんにちは。翔さんの後輩の松本潤です。」と会釈をすると
「揃いも揃って真面目だなあ。まあそう固くなるな！俺は固っ苦しいのが苦手でよ！」
店主のおじさんはまたも豪快に笑って、それにつられて俺たちも笑う。
見ればピークのお昼が過ぎたと言えどそこそこお客さんはいて、見慣れた制服を着た人がほとんどだ。
「ここは美味しくて安いし、しかも量が多くてさ、結構学生の間では人気店。店主もあんな感じで気さくだし、俺も結構行くんだ。お陰で顔も覚えてもらっちゃって。」
食券機の前で翔さんがそう言って笑いながら小銭を投入すると、カシャンカシャンと小気味よい音がしてピッと赤いランプがつく。
翔さんはその中の1つを迷いなく押して券を購入すると、もう一度お金を入れて俺にボタンを押すよう促した。
「ごちそうさまです！」
お礼を言って、食券機の中のメニューを見て少し迷った結果、大根おろしと納豆の蕎麦に決めた。
食券を店主に渡してからカウンター席について、ホッと一息。
少しざわざわとした心地よい空間で、俺は翔さんと食べる蕎麦を楽しみに待っていた。
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くろねこ(プロフ) - 柊さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて何よりです(*^^*)今後ともどうぞよろしくお願いします！ (2022年1月3日 21時) (
レス) @page31 id: 5b6f3182f9 (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - コメント失礼致します。『約束』の斗真くんの「誕生日おめでとう」に涙腺崩壊しました。大好きです。 (2022年1月2日 1時) (レス) @page31 id: 9a230f5c32 (このIDを非表示/違反報告)
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