心に従え ページ15
一瞬。
ほんの一瞬だったけど。
「翔さん…？」
なぜか、そう感じた。
絶対にそんなこと有り得ないのに
あの影に、翔さんと似たものを感じたんだ。
嫌に冷たい汗が背中を流れ落ちるのがわかる。
…その時。
「ん…あれ、潤？」
俺を呼ぶ声で我に返った。
翔さんは多少声が掠れてはいるもののとりあえず無事そうで、ホッと胸を撫で下ろす。
「立てますか？目の前で倒れたからびっくりしましたよ…」
…本当はびっくりする前に飛び出したんだけど、今はそんなことはどうでもいい。
「…潤、何でここに？」
「えっと…」
とりあえず隠すこともないだろうと、俺は包み隠さず全て話した。
ただ、影が翔さんに似たものを感じたことだけはさすがに言わなかったけど。
「俺がここに来たのは、ここ最近ずっと気配を感じてたからなんだ。
潤も人型の闇の塊を見たよな？
気配の正体があいつだって俺もさっき初めてあいつを見たときに知ったけど…強い力を持つ者の気配だった。みんなを巻き込みたくなくて部室に閉じ込めたけど、結局潤に助けられちゃったな。情けない…」
それから翔さんは苦笑いして、ただ帰ろうと言った。
俺も頷いて一緒にその場を後にする。
不思議なことに、この場を覆っていた気持ち悪い空気は影とともに消え去っていた…
…
「あいつの正体は、何なんですかね…」
部室への帰り道、階段を上りながら尋ねると
翔さんは難しい顔をして小さく唸った。
「残念ながら俺にもわからない。そもそも生き物なのかどうなのかも謎だし。俺らの目の前に現れた目的だって見当がつかない。
ただ…」
翔さんが、逡巡するように瞳を揺らした。
「…あいつが何者だったとしても、強い力を持つのは確実だ。」
翔さんの声が重くのしかかってくるような気がした。
…俺らをどうしたいんだ。
家族も居場所も全て奪われた俺たちを。
殺すのか、それとももっと酷いことか？
「…わからないから怖いよな。不安だよな。
でも、立ち向かうしかないんだ。
俺らが追っているのは、そんな現実だ。」
俺の人生を大きく変えた夏休みも、もうすぐ終わりを迎える。
これから先、何があろうとも進んでいくしかない。
俺の運命に潜む真実を追い求めたいならば…
「望むところだ。」
廻り始めた運命の歯車が軋む音を無視して
俺は自分で決めた道を歩いていく覚悟を決めた。
たとえこの先、どんなことがあろうとも…
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くろねこ(プロフ) - 柊さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて何よりです(*^^*)今後ともどうぞよろしくお願いします！ (2022年1月3日 21時) (
レス) @page31 id: 5b6f3182f9 (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - コメント失礼致します。『約束』の斗真くんの「誕生日おめでとう」に涙腺崩壊しました。大好きです。 (2022年1月2日 1時) (レス) @page31 id: 9a230f5c32 (このIDを非表示/違反報告)
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