瑠璃色の空～特別編～ (ページ36)

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…でも。

自室へと向かう階段で、チラッと考える。

たぶん、というかほぼ確実にジュンくんは今自室にいるはず。

そして、ジュンくんと僕はおんなじ部屋で、なんならベットも同じ。

どんなに顔を合わせるのが嫌だとしてもそれは変わらない。

…寝る場所は1つしかないんだし、いつもみたいにくっついて寝たら気分も変わるんじゃないかなって。

そんな少しの望みを持ってドアを開けると、ジュンくんが俺に背を向けてせっせと何か作業をしていた。

「えーと、ジュンくん…？」

恐る恐る呼びかけても、返答ナシ。

そっと離れたところから首を伸ばして見ると、キュッと口を結んで真剣な表情で大きめのリュックに何かを詰めているのがわかった。

不思議に思ってそのまま様子を伺うと、どうやら詰めているのは

お気に入りの洋服やパジャマ、教科書とノート、筆記用具。

あとはマンガや雑誌とか、この部屋にあるジュンくんの私物がギュウギュウに詰め込まれている。

そこで、ジュンくんが何をしようとしているか見当がついたけど…想像はしたくなかった。

「あの、ジュンくん「今日から1人で寝て。」

俺の言葉をバッサリと切るように遮って突きつけられた言葉に、僕の甘すぎた目論見が崩れ去ったことを知る。

「じゃ。」

ジュンくんは冷たい瞳でそう言うと、パンパンのリュックを背負って

呆然としている僕の横をするりとすれ違って、部屋から出ていった。

「ちょ、ちょっと…勝手に決められても！」

慌てて追いかけると、ジュンくんが目の前でシュンッ…と消えた。

瞬間移動をしたんだ。

手を伸ばしても、目の前には何もない。

「ジュンくん！ジュンくーん！」

どんなに呼んだって、ジュンくんは戻ってこない。

当たり前だ。
そもそもこの声はジュンくんに届いていないんだし…

僕はガックリと肩を落とし、やけに広くて静かな部屋に戻って隅にうずくまった。

「はあ…」

ため息をついても、気にかけてくれる人は目の前にはいない。

…どうすればいいかなんてわかっているのに。

「ごめんね。」

そのたった4文字が、自分の口から出てこない。

完全にタイミングを失って、どうすればいいのかわからなかった。

僕は考えるのに疲れて

ベッドに潜らずに、うずくまった姿勢のまま

そのままゆっくり目を閉じて闇へと体を委ねた。

…ああ、もし戻れるなら。

今日の朝に戻してください。

そんなことを考えながら。