☆ ページ19
次の日、起きてすぐに俺は天体観察の計画を立てた。
なるべく早く計画して実行した方がリスクも少ないと思ったからだ。
智くんはまだ寝てるのか今日はまだ姿を見ていないし、雅紀とカズとジュンは一緒にプールに出かけてて今はいない。
珍しく家の中が静かだった。
…
地図とインターネットを使ってポイントを絞っていくと、そこそこの数の候補地が集まった。
「この地区とこの地区と…ちょっと欲張りすぎたかなあ。」
ペンをくるくる回しながら最終選考。
最終的な決め手は星が綺麗に見える、っていうのだけど、やっぱり昨日のことがあるから例の地区からは遠い方がいいだろうし…
うーん、と唸っていると、がちゃんとドアが開く音が聞こえた。
「おはよぉ、翔くん。
…すげえなあ、朝から。お疲れ様。」
寝癖でぴょんぴょん跳ねまくった頭で、眠たそうに目をこすりながら智くんが俺を見た。
紙を広げてペンを持っているのを見て、どうやら勉強していると思ったらしい。
あくびをしながら感心して、ふわふわとキッチンへと入っていった。
「雅紀が作った朝ごはん、レンジの横の台に置いてあるって言ってたよー」
キッチンでごそごそ動く影に向かって言うと、影は素直にレンジの前に立った。
「智くん、見つかった？」
「あった、あった！ありぁと、翔くん。」
まだ目が覚めてないのか、舌ったらずな喋り方の智くん。
それにクスッと笑うと、不思議そうな顔をされた。
「みんなは買い物？」
「いや、みんなでプール行ったよ。
こんな暑い日はプールでしょ！って雅紀が2人を連れていった。」
「そっかあ。今日も暑くなるみたいだしねえ。」
窓の外、木々の葉がさらさらと揺れてどこかでセミが鳴き始める。
まだ暑さの方はそうでもないけど、時間とともに厳しくなってくるだろう。
「もう夏だねえ。」
窓の外に視線をやりながら、智くんが目を細めた。
「昼はそうめんでも茹でる？
やっぱりこう暑いと食欲も無くなるし…」
俺の提案に
「そんなこと言って、茹でんのは俺でしょ？」
と、智くんが苦笑する。
まあ確かに、俺は雅紀から、料理に関して戦力がゼロどころかマイナスだと豪語された身ではあるけども。
「俺だって、そうめんくらい茹でられるし！」
わざと拗ねたように言い返すと
「いいよう。俺だってそうめん食べたいもん。」
智くんが慌ててご飯の最後の一口を飲み込んで、キッチンへと逃げていった。
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