9.面会 ページ9
櫻井side
次の日。
いつものように、俺は1番早く起きた。
スヤスヤと眠る智くんと雅紀を横目にベッドを抜け出し2階へと向かう。
あの2人は、どうしているだろう？
もしかしたら少しは興奮が収まっているかもしれない。
そんな思いもあって、俺は2人に会いにいくことにした。
なるべく足音を立てないように階段を登り
ドアに手を掛ける。
昨日、智くんが凍らせたドアだけど
俺や雅紀の手が触れれば溶けるのだそうだ。
そして手が離れたらまた凍りつくらしい。
…ほんと、智くんの能力はいつ見てもすごい。
そっとドアを開けて中を覗いてみると、2人はドアから1番遠い部屋の隅っこで体を寄せ合っていた。
一応暖房を付けてたから、寒いわけではないだろう。
その時、パチリと銀髪くんが目を開けた。
途端にその目が鋭くなり、俺を睨む。
傍に眠る金髪くんを起こさないようにか声は出さないものの、その視線の痛いことといったらない。
俺は彼らをなるべく刺激しないように、その場にしゃがんでみた。
銀髪くんは、俺の一挙一動を見逃すまいと
俺から一瞬も目を離さない。
「…あとで朝ごはん持ってくるから、良ければ食べてね？」
それだけ言って、俺は部屋を出た。
今までずっと一緒に2人は生きてきたんだろう
どんな過去かは知らないけど…
簡単な話じゃないのはなんとなくわかる。
あれだけ俺らを警戒してるのも何か理由があるんだろうし…
「はーぁ…」
階段を降りながら、ため息をついた時だった。
「翔くん、ため息つくといいこと逃げるよ？」
そんな優しい声がして顔を上げると
「…智くん、おはよ」
「おはよ、しょーくん」
ふんわりとした笑顔の智くんが、いつの間にか階段下に立っていた。
「会いにいったの？」
智くんが俺が階段を降り終えるのを待ってからそう尋ねる。
「…まあ、仲良くなりたいし…」
でもやっぱりダメだったけど、と小さい声で続けると
智くんは遠くを見るような目をした。
「2人もね、そう思ってると思うよ。
だけど、その気持ちが信じられないんだよね。
きっと…」
朝の冷たい空気に、智くんの静かな声が溶けていった。
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くろねこ(プロフ) - 優子さん» ここまでお読みいただきありがとうございます！毎回感想を頂けて嬉しいです*\(^o^)/*また次の章もお読みくださると嬉しいです！ (2016年1月1日 21時) (
レス) id: ac080df625 (このIDを非表示/違反報告)
優子 - 読みました。翔君大丈夫かな？心配だよ。 (2016年1月1日 20時) (レス) id: 059e629431 (このIDを非表示/違反報告)
優子 - 読みました。智君に知られたら大丈夫かな？すぐにばれそうだね。続きが気になります。 (2016年1月1日 13時) (レス) id: 059e629431 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ(プロフ) - 優子さん» 翔くんのピンチを救った雅紀くん。ずいぶんシリアスな展開になりましたなぁ（他人事）笑 (2016年1月1日 12時) (レス) id: ac080df625 (このIDを非表示/違反報告)
優子 - 読みました。翔君ピンチだよ。気になります。 (2016年1月1日 7時) (レス) id: 059e629431 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くろねこ
| 作成日時：2015年12月18日 21時
