32.救世主 ページ32
櫻井side
目をつぶってすぐのこと。
何かが俺の目の前を横切り、花屋の怒声が響いた。
「あんた、どっから来やがった？」
おそるおそる目を開けると、俺の真下にいたのは…
「雅紀！」
俺に向かって放たれた太く鋭い枝を掴んで、黄緑の髪を揺らした雅紀が立っていた。
「翔ちゃんも腕が落ちたんじゃない？」
雅紀はそう笑って、素早く風の刃を作って
俺に巻きついていた蔦を断ち切った。
いきなり自由になった体を慌てて立て直し、俺も雅紀の隣に着地する。
腕や足がズキズキしたけど、気にしてられない。
2人で花屋と対峙する。
「ふーん…ぐるってことか。」
花屋はそう呟き、俺らから少し離れた。
「でも、1人も2人も変わんねぇよ！」
目で追うのが難しい速さで、俺らを蔦が襲う。
2人で飛び退き、それをかわす。
空中ですぐさま体制を整え、雅紀は突風を創り出した。
蔦の速度が遅くなる。
「翔ちゃん、大丈夫？」
雅紀が近くに寄ってきて、心配そうに俺を見た。
「こんくらい、全然平気だから。」
俺が答えると、「無理しないで。」と告げて俺から離れていく。
でもさ、雅紀。
助けてもらった分際で、休んでるわけにはいかないだろ？
彼の背中に心でそう叫び、俺も戦いに集中した。
雅紀のお陰で蔦のスピードが衰えたから、目で追うのが比較的楽だ。
俺は一つ一つを確実に燃やしていった。
突風の中、花屋は立っているので精一杯のようで
生成の速度が落ちる。
雅紀も、持ち前の身体能力を生かして蔦をよけながら一本一本風の刃で断ち切っていた。
「っ…！」
隙をついた雅紀の刃が、花屋の頬に傷をつけた。
そして俺も間髪入れずに炎で応戦する。
花屋は避けきれず、体で炎を受けた。
ボトリと蔦が力を失ったように足元に転がる。
「ぐああああっ！」
苦しげな叫び声をあげながら、目の前で花屋が燃えていく。
翠の能力者だから、普通の人より炎に耐性がないからだ。
…でも、もちろん殺しはしない。
俺らの任務は殺すことじゃなくて、捕まえて警察に引き渡すことだから。
制裁を下すべきは俺じゃない。
俺が手を握ると、炎が徐々に消えていった。
もう話す力もないようで、花屋は静かに目をつぶった。
俺は警察に通報して、到着した彼らに引き渡すと
雅紀と静かにその場を離れた。
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くろねこ(プロフ) - 優子さん» ここまでお読みいただきありがとうございます！毎回感想を頂けて嬉しいです*\(^o^)/*また次の章もお読みくださると嬉しいです！ (2016年1月1日 21時) (
レス) id: ac080df625 (このIDを非表示/違反報告)
優子 - 読みました。翔君大丈夫かな？心配だよ。 (2016年1月1日 20時) (レス) id: 059e629431 (このIDを非表示/違反報告)
優子 - 読みました。智君に知られたら大丈夫かな？すぐにばれそうだね。続きが気になります。 (2016年1月1日 13時) (レス) id: 059e629431 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ(プロフ) - 優子さん» 翔くんのピンチを救った雅紀くん。ずいぶんシリアスな展開になりましたなぁ（他人事）笑 (2016年1月1日 12時) (レス) id: ac080df625 (このIDを非表示/違反報告)
優子 - 読みました。翔君ピンチだよ。気になります。 (2016年1月1日 7時) (レス) id: 059e629431 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くろねこ
| 作成日時：2015年12月18日 21時
