29.組織の能力者 ページ29
櫻井side
瞬時に息が詰まる。
見ると、相手は太い蔦で俺の首を締め上げていた！
「くっ…」
俺はすぐに能力を解放し、蔦を燃やして逃れた。
「はぁっ…はあっ…」
後頭部に攻撃を受けた時のダメージに加え、今のダメージもあって視界が霞む。
だけど、ぼーっとなんてしてられない。
時は一刻を争うのだから。
俺はすぐさま立ち上がって、相手との間合いを取った。
まだ頭がクラクラするけど、かろうじて目は利く。
「へぇ…、兄ちゃん能力者なのか。」
相手は俺を見てびっくりしたような顔をしたけど、それもすぐに消してニヤリと笑った。
「どーりで。
俺の初っ端の攻撃で死ななくて、びっくりしたんだよね〜」
ケラケラと笑う敵。
…冷静になれ、俺。
冷静さを欠いた時、それは負けを意味する。
逆を言えば、冷静でいればどんな勝負でも勝機はあるということ。
…ずっと昔に、智くんが言ってたこと。
それを思い出して、俺は深呼吸をして徐々に息を整えた。
「俺、花屋って言われてんだ。良ければそう呼んでよ。」
花屋は、グレーのパーカに黒いジャージ。
フードを被ってるから顔は見えないけど、髪の毛と瞳は鮮やかな深緑だ。
「…花屋、ね…」
俺はそう呟いて、相手を見つめた。
…いつの間にか、相手から殺気が感じられなくなっていた。
不気味だ。
それでいて、こいつは強い能力の持ち主だ___
背筋がひやりとしたけど、必死で冷静さを保つ。
すると、唐突に相手が話しかけてきた。
「…兄ちゃん、あんたは人間を恨んでないか？」
そのフレーズで、ピンときた。
「あんたは、アンチ組織のメンバーか？」
尋ねると、花屋は感心したように息を吐いた。
…
アンチヒューマン組織。通称アンチ組織。
人間を嫌悪する能力者たちの組織だ。
能力を使っていろいろと悪事を働き、警察も手を焼いている。
俺らが捕まえる能力者のほとんどはこの組織のメンバーだったりするんだ。
力が強いものが多くて、しかも綿密な計画と確実な実行力をもっているから
捕まえるのが大変なんだよね…
「知ってるなら、話が早いな。」
相変わらず、花屋はニヤついていて気分が悪い。
「兄ちゃん、俺らの仲間になんねぇか？
そしたらもちろん、命は保証するが。」
俺は、応えなかった。
代わりに、思いっきり地面を蹴って火炎放射を相手に繰り出してやった。
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くろねこ(プロフ) - 優子さん» ここまでお読みいただきありがとうございます！毎回感想を頂けて嬉しいです*\(^o^)/*また次の章もお読みくださると嬉しいです！ (2016年1月1日 21時) (
レス) id: ac080df625 (このIDを非表示/違反報告)
優子 - 読みました。翔君大丈夫かな？心配だよ。 (2016年1月1日 20時) (レス) id: 059e629431 (このIDを非表示/違反報告)
優子 - 読みました。智君に知られたら大丈夫かな？すぐにばれそうだね。続きが気になります。 (2016年1月1日 13時) (レス) id: 059e629431 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ(プロフ) - 優子さん» 翔くんのピンチを救った雅紀くん。ずいぶんシリアスな展開になりましたなぁ（他人事）笑 (2016年1月1日 12時) (レス) id: ac080df625 (このIDを非表示/違反報告)
優子 - 読みました。翔君ピンチだよ。気になります。 (2016年1月1日 7時) (レス) id: 059e629431 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くろねこ
| 作成日時：2015年12月18日 21時
