18.救出 ページ18
櫻井side
朝のゆったりした時間を切り裂くような叫び声。
その声を聞いて、弾かれたように俺らは2階へと向かった。
…2人の部屋の前。
一番乗りは、雅紀だ。
「ごめんっ！開けるよ！」
申し訳なさと緊張がごっちゃになった声と同時に、雅紀がドアを勢いよく開ける。
体ごと突っ込むようにして雅紀と俺は部屋に入った。
そこには______
銀髪くんが、キッと鋭い瞳で俺たちを睨んだ。
だけど、その目は心なしか潤んでいて。
そして彼のその腕には、ぐったりした金髪くんが…
「大丈…」
「カズに触んなっ！」
ピリッとした声に、近づこうとした俺と雅紀は慌てて止まった。
でも、こうしてはいられない。
あのままでは金髪くんが衰弱しちゃう。
…そういえば、智くんは？
小さく頭を動かして周りを見渡すと
智くんはまだドアのところにいた。
ジッと部屋の隅にいる2人を静かに見つめながら。
雅紀も智くんに気づいたようで、 ふっと肩に入っていた力を抜いた。
…智くんに任せれば、大丈夫だ。
それから智くんは、2人に臆することなく
普通に近づいていった。
銀髪くんは智くんを見つめたまま
クッと喉を鳴らした。
この前のことがあったから、力を使うのを躊躇っているんだろう。
智くんが2人のほんの目の前に来ると、銀髪くんは金髪くんを自分の後ろに隠した。
そして、ふるふると小さく体を震わせながら
智くんを敵意むき出しの目で睨みあげる。
だけど、智くんの方に彼の意識は向いているけど
こっち側にもちゃんと警戒をしているのが見て取れた。
智くんは目線を合わせるようにしゃがんで
銀髪くんから目をそらした。
後ろの金髪くんを見てるんだ。
銀髪くんの肩が微かにビクッとして強張る。
「…その、後ろの子。今、とっても危ない状態なの。君もわかるでしょ？」
聞く者を落ち着かせるように、静かに智くんの声が響く。
銀髪くんは返事をしなかったけど、代わりに瞳がゆらゆら揺れた。
「…君たち2人は仲良しなんだね。
だけど、そのままだと後ろの子はもっと悪いことになる。
俺たちが助けるから、ちょっと…彼の状態を見せてくれないかな？」
銀髪くんがジッと智くんを見つめる。
…きっと、判断に困っているんだ。
そして、視線を金髪くんに持っていく。
金髪くんは青白くて、どう見ても元気そうには見えない。
「…カズに乱暴は絶対するなよ？」
「もちろん。」
智くんが銀色の瞳を見てにっこり笑った。
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くろねこ(プロフ) - 優子さん» ここまでお読みいただきありがとうございます！毎回感想を頂けて嬉しいです*\(^o^)/*また次の章もお読みくださると嬉しいです！ (2016年1月1日 21時) (
レス) id: ac080df625 (このIDを非表示/違反報告)
優子 - 読みました。翔君大丈夫かな？心配だよ。 (2016年1月1日 20時) (レス) id: 059e629431 (このIDを非表示/違反報告)
優子 - 読みました。智君に知られたら大丈夫かな？すぐにばれそうだね。続きが気になります。 (2016年1月1日 13時) (レス) id: 059e629431 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ(プロフ) - 優子さん» 翔くんのピンチを救った雅紀くん。ずいぶんシリアスな展開になりましたなぁ（他人事）笑 (2016年1月1日 12時) (レス) id: ac080df625 (このIDを非表示/違反報告)
優子 - 読みました。翔君ピンチだよ。気になります。 (2016年1月1日 7時) (レス) id: 059e629431 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くろねこ
| 作成日時：2015年12月18日 21時
