17.保護 ページ17
ジュンside
カズと一緒に白い場所を抜けて
気づいた時には膝をついてた。
「もう…もう無理だよ。
ジュンくん…体が、冷たいよ…」
カズが俺の隣でそう小さい声で言ったのを覚えてる。
カズは、俺の双子のお兄ちゃん。
だけど、体があまり強くなくて、よく具合を悪くしてた。
そのたびに白服のやつらに連れていかれ
さらさらした粉や色のついた水を飲まされて帰ってきた。
「口が気持ち悪い…」
そう言って、辛そうな顔をしてたね。
「体が…ぼーっとする…ジュンくんの声が、聞こえづらいね…」
とろんとした目で俺を見て、お兄ちゃんなのに俺より小さい手を
震わせながら俺に触ろうとしてたのを見て
俺は絶対カズと離れないと決めた。
…
いつの間にか寝てたみたいで、目を開けたら知らない場所に行っててびっくりした。
だけど、もとの白い部屋じゃなかった。
そうではなくても、カズ以外の人は悪い人だ。
きっと、白服のやつらがこいつらに頼んで俺らを捕まえたんだ。
明るくなったり暗くなったりするうちに
3人だけがここに住んでいるのは
なんとなく予想がついた。
悪い人だと思っているのには変わらない。
だけど…
白服の奴らと違うのは、俺らに何か言ってくることだ。
声の調子が、まるっきり違う。
聞いてると、胸のところがフワッとするようなそんな声なんだ。
それでも、2人で部屋の端っこで縮こまっていると
いい匂いのものを毎日運んでくるようになった。
それが食事なのはなんとなく気づいたけど、俺にはそれがキラキラして見えた。
食事は、白い部屋でも食べてたけど、白い部屋で食べたのとは全く違う。
それでも俺らは、それに手をつけなかった。
そんな暮らしを続けていくうちに…
カズに、限界が来ちゃったんだ。
ある日、目を開けると
カズは俺の肩に頭を預けてクタッとしてた。
いつもなら、キンキラの目で俺を見て
小さく笑うのに、今日はいつまで待ってもそれがなかった。
「…カズ？」
おそるおそる呼んでみても、返事はない。
「カズ！カズッ？」
何度呼んでも、揺すっても
カズがキンキラの目で俺を見ることはなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 367人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くろねこ(プロフ) - 優子さん» ここまでお読みいただきありがとうございます！毎回感想を頂けて嬉しいです*\(^o^)/*また次の章もお読みくださると嬉しいです！ (2016年1月1日 21時) (
レス) id: ac080df625 (このIDを非表示/違反報告)
優子 - 読みました。翔君大丈夫かな？心配だよ。 (2016年1月1日 20時) (レス) id: 059e629431 (このIDを非表示/違反報告)
優子 - 読みました。智君に知られたら大丈夫かな？すぐにばれそうだね。続きが気になります。 (2016年1月1日 13時) (レス) id: 059e629431 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ(プロフ) - 優子さん» 翔くんのピンチを救った雅紀くん。ずいぶんシリアスな展開になりましたなぁ（他人事）笑 (2016年1月1日 12時) (レス) id: ac080df625 (このIDを非表示/違反報告)
優子 - 読みました。翔君ピンチだよ。気になります。 (2016年1月1日 7時) (レス) id: 059e629431 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：くろねこ
| 作成日時：2015年12月18日 21時
